ホテルの一室で一人横になっていたトキは、うとうとしたまま時の流れの中に身を任せていた。
窓にかけられたカーテンの隙間から、暖かい陽の光が差し込んでいつまでも夢見心地でいた。
今、何時ごろだろう?
そう考えながら寝返りを打つ。
朝起きたときに感じた、体のだるさや頭痛はいつしか消え、気持ちも随分落ち着いてきた。
「・・・疲れてたのかな」
思えば、最近は移動が多かったし新たな旅の同行人との小さな騒動の数々も起こったりで
なかなか気の休まる隙が無かった気がする。
自分は、この程度の心身の負担でダウンしてしまうのかと思うと、また情けなくなってくる。
一気に色々なことがあったせいで、心の整理がつかない。
でも、それと同時にその変化に順応しようとしている自分も感じることが出来る。
言葉では表せないような、モヤモヤとした不安は直接的な解決を迎えていなくても
じっくり立ち止まってみれば、思考は次第にクリアになっていき
なんだか明日は元通りの自分を取り戻せそうな気分になっていくのだ。
何にせよ、もっと強くならなければ・・・とトキは思った。
もう、守られるだけの立場は嫌だ。
力は、 自分自身の力は まだ十分に持ち合わせていないけれど
心からの 真の強さが欲しいと思った。
そうでなければ、ここから先には進めない。
「・・・キラたち、どこまで行ったのかな」
そう、小さな声で呟いた瞬間
ドアの向こうから人の近付いてくる音が聞こえてきた。
「キラ?」
トキが身を起こしたとほぼ同時に、部屋のドアは開かれた。
「・・・クラウド?・・・・・・!!」
by 蓮