――ガガガ ・・・ドゴンッ

大きな音を立てて、アラバスの城門が閉まる。


トキとクラウドは暫く沈黙のまま動かないで居た。

視線は互いをしっかり捉え、

相手の考えを探り合うような無言のやり取りが繰り広げられていた。


キラはそんな二人の様子を見て、呆れ顔をし、

トキをツンとつついた。

ハッとしたトキが、何か言おうとモタモタしていると 先にクラウドが話し出した。

「トキ、どーして起こしてくれなかったんだよ?」

相変わらず、何を考えているのか読めない表情でこちらに歩いてくる。

仕草はヘラヘラしているが、さっきまでの酔った感じは微塵も残っていない。

あんなに潰れていたのに、もう酔いが醒めたというのか。

「トイレ行きたくなって起きたら、誰もいなくて。びっくりしたぜ!?」

トキはうつむいて黙っていた。

「ああっ!! トキ、お前まさか本気で俺を置いていく気だったのか?」

「・・・・・・」

「マジかよっ? ヒデェな」

クラウドはガクっと、しゃがみ込む。

キラはクスクス笑っている。

「・・・・別に」

トキが口を開いた。

「ん?」

クラウドは耳を欹ててトキに迫り寄る。

「別に、置いていこうとした訳じゃ・・・」

ボソッと呟きながら、トキはクラウドから後退りする。

「じゃあ、どうして?」

クラウドが迫る。

「そ、それは。急いでて・・・」

トキが退く。


――暫くそんなやりとりが続いて。。


「もう!あんた達いい加減にしなさいよ!!」

二人の子供の様なやり取りを見かねて、キラが一喝入れた。

「トキ!しっかりしなさいよ。何動揺してんのよ!」

トキがハッとする。

「クラウドも、あんまりトキをいじめないで」

アハハと頭を掻くクラウド。


カァと赤面するトキ。

まんまとクラウドのペースにハメられてしまったのだ。

その後 とりあえず、歩きだす面々。

落ち着きを取り戻したトキはクラウドの様子を伺いながら言った。

「僕たちはこれから、魔女の家に向かいます。」

アラバスの赤い旗が遠く 見えなくなって、前方は果てしなく広がる砂漠。

砂埃がかからない様にコートのフードを深く被ったトキ達は、砂地を進んだ。


                                                 蓮



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