――ガチャ
「ハァ~ おねーさん、俺もう飲めねーよぉ」
「ヒック・・・私はまだまだイケるわよ~ 締めのポロムジュースがまだだもの」
見事に酔っ払ったクラウドとキラが帰ってきた。
かなりの量の酒が入っているようで、近づくと酒臭さが鼻につく。
二人を部屋まで運んできてくれた宿のおばさんにお礼を言うと、
トキは、おばさんに代わってクラウドの腕を肩に回した。
「うぅ~」
一体どれくらい飲んだんだろう。
こんなになるまで・・・世話の焼ける人だな。
トキは呆れながら、ゆっくりベットまでクラウドを運んだ。
ボフッ
ベットに横たわるとクラウドは寝息を立てて眠りだした。
キラはピョンとトキの手に乗る。
「クラウドも、まだまだね~!二人で酒豪バトルしたんだけど、私の圧勝だったわ!」
威張ったキラからも、結構な酒の匂い。
「キラ、飲みすぎだろ?」
「大丈夫! ”酒に別腸あり” って言うじゃない」
それにしても、キラの小さな体に入る酒の容量は少ないと思うのだが・・・
――と、トキはリザのことを思い出した。
幸いキラはまだ正気だったし、早いうちに出発したかった。
「キラ、急な話だけど。すぐにこの国から出ようと思うんだ」
「え~!今から!?明日じゃダメなの?」
酒の入ったキラはいつも以上にハイテンションで駄々をこねる。
「夜中の内に出発しないと、キラ、干からびるよ?」
何せ、トキがこれから向かうのは砂漠の真ん中。
日中は光線が地を焼き、気温は40度近くにまでなる。
とても長時間歩き続けられる環境ではない。
「砂漠ぅ!?また、どうして急にそんなトコ・・・」
トキに手渡された水を飲み、酔いを醒ましながらキラが言う。
すると、トキは遠くを見つめながら答えた。
「さっき、会ったんだ。あの人は多分・・・本当の”魔女”」
キラは首を傾げている。
「砂漠の魔女、本当にいたんだ」
トキはそう言って、窓から外を見た。
乾いた風が優しくトキの頬を撫で、窓辺の布を揺らした。
蓮