トキとクラウドは、太陽が照りつける砂地を並んで歩く。
トキの肩では、そろそろキラがダウンしている。
大丈夫?と様子を伺うトキを見て、クラウドがニコニコ笑った。
「いや~、それにしても可愛いな。トキちゃんは」
ニヤついた表情でクラウドが言った。
「ウサギのお友達とずっと旅をしてきたのか?」
キラは、ピコンと耳を立てた。
「・・・ちゃん、ってやめてもらえませんか」
うつむき加減でトキが言う。
嫌だったぁ?とおちゃらけた様子でクラウドはアハハと笑う。
「じゃあ、トキ。もっと、色々話してくれよ!!俺すっごくお前に興味あるんだぜ」
クラウドの言葉にキラは「うさんくさそ~」とトキに警戒を促した。
トキもキラが言葉を話すのを見たら、またクラウドが何を言い出すか分からないから
軽く頷いて見せて、キラに合図した。
―――この人とはあまり喋らない方がいい
トキは、クラウドみたいな軽いノリでお喋りな奴は苦手だった。
「おい~!!」
クラウドが後ろからうるさいが、トキたちは黙って先に進んだ。
すると、すぐそばの岩場から急に盗賊らしき輩が現れた。
「おいおい、旅人さんよ。この先は砂漠だぁ。」
3人の中年男が、短剣を持ってトキを囲んだ。
「砂漠に入る前に、見ぐるみ全部。置いてってもらおうか」
真ん中にいる、赤いバンダナを巻いた男がズイと前に出た。
トキは、慣れた様子で辺りを見回していた。
今日は、クラウドが居るし キラで戦うか考えていた。
「なんだぁ、このガキ。聞こえねーのか!?」
左側の太った男が剣先を突きつけてきた。
それ程強くもなさそうだし、トキは受身を取って素手で片付けようと思った―――その時。
――ドンッ
トキと太った盗賊の間に素早く入ったクラウドは、ニッと笑って男を蹴飛ばした。
手には、どこから出てきたのやら。立派なロングソードが握られていた。
「トキちゃんには、指一本触れさせないよ!!」
盗賊たちが少しひるんだ時に、クラウドはトキの方を向いてVサインをしたが
また”トキちゃん”と呼ばれてムスッっとしているトキを見て「ありゃりゃ」と頭を掻いた。
「ごめんよ、トキ。気を付けるからさ!!それより見ててくれよ。
俺、結構強いから。 惚れるなよ!!」
地面を蹴ったクラウドの足元からは砂埃が立った。
盗賊たちも、負けるか!とクラウドに向かっていく。
残されたトキとキラは、互いに顔を見合して「ハァー」とため息をついた。
「なんだか、アイツといると私疲れるわ」
キラが正直な心境を言った。
トキは呆れ顔でクラウドを見ていたが、キラの意見に強く賛同した。
by 蓮