「トキ~、なんだか暑くなってきたよ~・・・。」
キラがだるそうに言う。
地図通りに行くと、ギリギリ砂漠地帯には入っていないはずなのに、
じりじりと太陽が照りつける。
トキは、またか、と溜め息をつきながら地図を広げてみた。
地図を見ながら辺りを見回すと、ふと人影が目に入った。向こうも気付いたらしく、
足早にこちらに歩み寄ってくる。
見たところ、20代前半ぐらいの青年だ。
「君、一人!?」
青年が弾んだ声で聞いてきた。
トキは答えようとしたが、その間もなく質問攻めが始まった。
「旅人?だよね!!どこに向かってんの!?どっから来たの!?」
トキは何から答えていいか分からなくなり、口ごもった。
「あっ、急にゴメン。俺クラウドって言うんだ!!ヨロシク!君は?」
「トキ・・・。あの・・・道を教えてもらえませんか」
「トキちゃんかぁ~。道案内ならこの俺に任せて!!で、どこに向かってるの?」
ちゃん付けされたことに引っ掛かりつつも、トキは答えた。
「アラバス・・・」
「アラバス!?偶然~!!俺もその国に向かってたところなんだ~!」
クラウドは嬉しそうに言った。
二人は、アラバスへ向かうことにした。
by卑弥呼