こちらこそ、と少女は話し始めた。
「この辺じゃ見かけない髪色をしているものだからつい・・・・・変わったうさぎちゃんね。
キラちゃん・・・っていうの?かわいいわね。」
銃に変化したキラに、さほど恐れを感じていない様子であった。
少女はキラの頭をそっと撫でた。おそらくかなりの動物好きなのだろう。
しかし、ほころんだ表情から一変して、少女は真剣な顔付きで話を続けた。
「あなた、この教会について何か知ってるの・・・?あっ、いきなりごめんなさい。私の名は
アンジェ。ここの裏に住んでるの。町の人たちにはわからないみたいだけど、この教会、
この長い雨が降り出してからおかしな感じがするの。ママに聞いても、何も教えてくれないし
ただ一つわかったことがあって、この雨は昔、ある旅人が来てから降るようになったってことなの。
雨で外でも遊べないし、毎日この教会を調べていたの。この雨が降り出す前は、週に1度
礼拝が行われていたのに、この雨のせいで、今では必要以上に人々は外に出なくなった・・・。
こんなに綺麗なマリア様がいるのに・・・。マリア様がかわいそう・・・。
・・・・あなたがその旅人ってことはないわよね?」
トキは答えた。
「確かに僕は旅人だけど、その旅人ではないよ。この国に来たのは初めてだから」
「そうよね・・・」
そう言ってアンジェは、はぁと息をついた。
「そういえば、あなたのお名前は?」
「僕の名はトキ」
「トキとキラね!よろしく。」
アンジェは思いついたように言った。
「よかったら、あなた達に協力してもらいたいことがあるの。」
こっちよ、とアンジェは足を進めた。
トキとキラは後に続く。 by卑弥呼