Arriflex Planar 85mm F2 「アリプラナーCarlZeissの到達点」 | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

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カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

最近Arriflex-Cine-Planarを手に入れた。


新宿の中古カメラ店で発見していたが、購入するかどうか半年にわたり悩んでいた品である。
最近値引きされていたためさんざん試写した挙句、思い切って購入に踏み切った。
購入まで半年もかかったのは2点迷う要素があったからである。

1点目はより安価なArriflex-Cine-Sonnarとの明確な差が分からなかった点

2点目はレンズ自体が改造されていた店である。

まず1点目であるがArriflexのSonnarとPlanarは85mmF2という同スペックである。もちろんPlanarのほうが倍近く高い。新品のときからこの価格差はあったそうだが、その写りに値段ほどの差が出るのかというのが疑問であった。
試写した結果、差はあるようである。表現があいまいなのは同条件で試すことが出来ていないためあくまでも僕の感覚であるためだ。
SonnarとPlanarを並べて試写をしたいが、そんな資金は持ち合わせていない。あとこれは2点目につながる点であるが、このレンズはEFマウント改造をされているのでEOS5DMarkⅡで試写をしていた。何度か試したArriflex-SonnarはPENで試した。こういった理由により僕の個人的な感想での判断になってしまった。しかし差は明確に存在すると思う。その差は端的に言うと設計年代の差ではないかと思う。

Sonnar85mmF2の基本設計は戦前から戦中にかけてである。そしてその多くは戦後すぐから活躍し1950年代以降の85mmのほとんどがこの形を倣った。ArriflexSonnarも多くはこの時代の型でなぜかZeissJena製が多い。Arriflex用ということで民生のSonnarに比べて圧倒的にシャープなレンズに仕上がっている。その多くはコーティングも施され発色も向上している。ザワッとしたボケでコントラストが低めな描写であるが、諧調は豊かである。発色は控えめで逆光に弱い。ブリンプケース入りの個体も試したがこちらはマクロ域での撮影が可能である。


一方Planar85mmF2は現代的なレンズである。鮮やか目な発色、ピント面と背景のボケがはっきりセパレートする感じ、高コントラスト、多諧調。そして現代レンズにも引けをとらない高解像力。
極端に暗い被写体も見事に表現する懐の深さはさすがである。

どちらが良いかということになると判断がつかない。それぞれに良いレンズである。いうなれば新旧CarlZeissのエースである。Sonnarのクラシカルな描写を楽しむか、エッジの効いたPlanarにするかは好みの問題であろう。
ただ僕の中でArriflexPlanarを使うにあたり一つの懸念がある。それは現代の高性能レンズと比べて差がないのではないかということである。実は試した結果から言うと差は存在するが僅差で使用している本人には分かるが結果を客観的に見る限りその差を見つけるのは困難である。
しかし写真を撮っているときのどこまでも解像し、どこまでも表現してくれる感覚は独特である。自己満足ではあるが・・。写真におけるレンズ選びとはそういうものであると思う。

2点目のレンズ改造とはニコンFマウントにするためにバックフォーカスが伸ばしてあった。
後玉の後ろにレンズを入れて伸ばしてあるのだが、はたして写りに影響があるのかないのか?
これはうかつに外すわけにも行かず、外したところでオリジナルのヘリコイドはない状態なので試してません。比べるレンズももちろんありません。
でも試写しまくった結果あまり影響なさそうです。厳密に言うとパープルフリンジが出るのですがこれがバックフォーカス延長によるものなのかもともとなのかは分かりません。
FマウントをEFマウントに変換するリングもついてたのでEFマウントにして使ってます。

後付けでヘリコイド入ってます。

ヘリコイドを外すとこんな感じ。

後玉の後ろにバックフォーカスを伸ばすためのレンズ入ってます。

カメラにつけるとこんな感じ。

T表記なのがシネレンズらしいです。
写りは激高解像度です。これ以上のレンズは本当にそんなにないと思います。

写りは普通なんです。http://yahoo.jp/box/9lThzw

拡大すると水滴もはっきり。どこ拡大したかわかりません(笑)
でも撮ってるときはディスプレイでこの水滴見えてます。不思議な感覚です。

こちらも写りは普通です。http://yahoo.jp/box/JY6jtW

拡大1 このグラデーションは普通出ません。

拡大2 しかも雲も写ってます。

夜景でも

拡大するとhttp://yahoo.jp/box/WTsqkp

普通こんなになりません。

名古屋のテレビ塔です。http://yahoo.jp/box/uUgkpq

拡大

拡大http://yahoo.jp/box/8Y8K6f

三越の窓のレースのカーテンの質感写ってます。

このレンズのすごいところは

http://yahoo.jp/box/o1HnM8

拡大1 解像力と

拡大2 このボケです。軽自動車にピントを合わせたのですが、その後ろがぼけているのが分かります。
引きの写真から分かるとおり10m以上先にピント合わせてます。背景がそこからボケるなんて被写界深度驚異的に浅いです。

最後に枝と背景のボケ味です。http://yahoo.jp/box/8sM91S

拡大すると虫がいました。
少しフリンジが発生しているのがわかります。

こうやってみてくるとこのレンズの写りはきわめて普通であることが分かります。
暴れるボケもにじみも収差もありません。
でも異常なほど良く写ります。
どんなシチュエーションでも。
これがCarlZeissの本気レンズなんですね。

しかしこのレンズ、使いこなせなければ普通のレンズです。
このレンズを使いこなすべく精進してゆきたいと思う今日この頃です。