國體護持 第六章 第二節 (方向貿易理論)-3 | らすログ☆

國體護持 第六章 第二節 (方向貿易理論)-3

はじめに・らすかる☆より  http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10277101543.html

目次・例言 http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10277160853.html

(方向貿易理論)-1 http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10290129292.html



第六章 萬葉一統

 第二節 自立再生論
  (方向貿易理論)-3



 現代の大衆社會(会)において、今まで自由貿易による飽くなき豐(豊)かさの追求をしてきた大多數(数)の無自覺(覚)な人々であつても、このままでは國(国)家と世界は危ふいといふ本能的豫(予)感を感じてゐるはずである。しかし、突如として直ちに自由貿易を廢(廃)止して自給自足をするといふことになり、個々人も耐乏生活を強いられるとしたら、大きな抵抗が生まれる。それは、反グローバル化運動に携はつてゐる人々も例外ではない。その抵抗もまた本能である。本能には、物理學(学)でいふ「慣性の法則」、つまり、物體(体)は外力の作用を受けなければ、現状の状態を維持し續(続)けるといふものである。靜止してゐる物は靜止したまま、あるいは等速度運動をけたままといふことである。生もこれと同樣(様)の原理で支配され、それは物理系に限らず、精神(神)系も相似的な原理で支配してゐるからである。望むと望まざるとにかかはらず、奢侈(しゃし・度を過ぎてぜいたくなこと)に馴致して行くのもこの作用によるものである。それゆゑ、自由貿易の方向へと運動をける人々に、それを止めさせるためには、急激であつてはならず、徐々に摩擦抵抗で自動車が減速して行くやうに、長い距離と時間を必要とする。しかし、自由貿易の方向へは加速してはならないことだけは必要である。「ゆるやかな鎖主義」(大塚勝夫)といふ考へ方とも共通するが、フルセット型産業構造(食料、原材料以外の自給自足制)といふ考へ方は、我がにおいては、『日本とアメリカ合衆との間の相互防衞援助協定』によるMSA(Mutual Security Act)制から脱却するための過渡的なものと限定すれば認めてもよいだらう。


 そして、方向貿易理論に基づいて、各國(国)は、自給率向上のための年次數(数)値目標を立てて具體(体)的に貿易量を減少させるための樣(様)々な政策を打ち出して實(実)施することになる。さうすると、貿易依存の産業は徐々に衰退する反面、自給自足へ向かふ方向の産業が活發(発)となり、産業構造が自給自足制へと次第に轉(転)換して行く方向性が決定する。決して、これは耐乏生活を強いる方向ではない。むしろ、産業構造の換による新たな社會(会)資本の增(増)加や雇用が創出されるなど經濟(経済)は成熟して安定する。


 そして、自由貿易が徐々に減速して行くと、次第に自給率が向上して行く。この進行速度は、基幹物資ごとの性質と事情もあつて一律ではないとしても、自給自足が實(実)現できる地域的、構造的範圍(囲)が次第に縮小して行く。なぜならば、これまで世界の各地域において、自給自足の生活をしてきた人類の過去の記憶が本能的に甦るからである。それは、あたかも既視感(デジャビュ)の如く、本能に導かれて樣(様)々な方策を編み出しながら歩み始める。そして、次第に各國(国)や各地域の一部に、獨(独)立した閉鎖系が生まれ、それが他のと地域に傳(伝)搬していくのである。これは、一個の母細胞が徐々にいくつかの細胞に分裂して增(増)殖して行く姿にも似てゐる。


 ライプニッツは、宇宙の組成單(単)位を物質的ではない靈的な不滅の實體(実体)(モナド)とし、全世界のすべてのモナドの相互關(関)係や統一的な秩序が神(神)(宇宙意志)によつて支配されてゐるとし、それを「豫(予)定調和」としたが、もし、人類が特定の方向にその意志を定めれば、その定調和に向かふといふことになる。このことからすれば、この方向貿易理論に基づき、世界がその意志を共有し、各國(国)が自給率向上政策をそれぞれの事情を踏まへ創意工夫して推進し續(続)ければ、「定調和」として自立再生社會(会)現するといふことになるのである。



(交換經濟と自給自足經濟)-1 http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10290144993.html