きのう私は「死刑は抑止力にならない」という記事を書きました。


ヤフーのブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/heiwa5526/41228245.html )にも同じ記事を書きましたが、何件か批判的なコメントも寄せられました。


それで、続きを書くことにしました。


まず、きのうの記事を書くきっかけになったニュースです。



鳩山法相「粛々と死刑執行」 「治安の良い国つくる第一歩」
 
鳩山邦夫法相(衆院福岡6区)は22日、地元福岡県久留米市であった自身の後援会主催のパーティーで演説し、「(死刑執行は)抑止力になって治安の良い国をつくる第一歩だと考えている」と死刑執行の意義を強調し、今後も続ける意向をあらためて示した。

 鳩山法相は「人を惨殺しておいて、自分の命だけ助かるという死刑廃止論にくみする気持ちはない」と強調。「粛々と死刑は執行しなければならない」と述べた。

 昨年8月の就任以降、鳩山法相は6人の死刑を執行した。同日は、福岡市の市民団体「死刑廃止・タンポポの会」(山崎博之代表)が鳩山法相の事務所を訪れ、死刑執行への抗議と法相辞任などを求める文書を事務所のスタッフに渡した。

                         =2008/03/23付 西日本新聞朝刊=
                                 2008年03月23日00時17分
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/20080323/20080323_004.shtml


寄せられたコメントで、死刑が抑止力になるデータもある、という方もいましたが、納得できる内容ではありませんでした。

私は、グーグルで「死刑 抑止力」で検索しました。

そうすると、一番上にでてくるサイトから引用します。死刑の犯罪抑止力の部分です。


死刑に関する事実と数字 
              原文: Facts and Figures on the Death Penalty
              ※これは2007年10月2日に更新された原文を和訳したものです。
7. 犯罪抑止議論

死刑が他の刑罰よりも有効に犯罪を抑止するという説得力ある証拠は、科学的研究によっては一貫して得られていない。1988年に国連(訳注:国連犯罪防止・犯罪統制委員会)のために行なわれ2002年に改訂された、死刑と殺人発生率の関係についての最新の調査結果報告書の出した結論は「死刑のもたらす脅威やその適用が、より軽いと思われる終身刑のもたらす脅威やその適用よりもわずかでも殺人に対する抑止力が大きいという仮説を受け入れるのは妥当ではない」というものだった。

(引用文献:ロジャー・フッド『世界の死刑』 オックスフォード・ユニバーシティ・プレス、第3版、2002年 230ページ)
(訳注:『世界の死刑』は、日本では1990年に辻本義男訳で成文堂から出版された。)



8. 死刑廃止の犯罪率への影響

1988年に実施され2002年に改訂された、国連に提出された報告書は、死刑の適用の変化と殺人発生率との関係についての証拠を評して、「統計の数字が以前と同じ方向を指し続けているという事実は、死刑に依存することを減らしたとしても、各国は犯罪曲線が急激かつ深刻に変化することをおそれる必要はないという説得力のある証拠である」と述べた。

死刑廃止国における最近の犯罪件数は、死刑廃止が悪影響を持つということを示していない。たとえばカナダでは、人口10万人当たりの殺人率は、殺人に対する死刑を廃止した年の前年である1975年の3.09件のピーク時から1980年には2.41件に低下、そしてそこからさらに減少している。死刑廃止から30年後の2006年には殺人率は人口10万人当たり1.85件、1975年よりも40パーセント低く、ここ30年間で2番めに低い割合だった。

(引用文献:ロジャー・フッド『世界の死刑』 オックスフォード・ユニバーシティ・プレス、第3版、2002年 214ページ)
http://homepage2.nifty.com/shihai/shiryou/facts&figures.html
                               引用終わり


これを読むと、カナダでは、死刑を廃止してから殺人率が低下しています。

ですから、死刑が凶悪犯罪の抑止力になるとはいえません。


きのうは触れませんでしたが、>鳩山法相は「人を惨殺しておいて、自分の命だけ助かるという死刑廃止論にくみする気持ちはない」と言いました。

この論理でいくと、すべての殺人犯を死刑にしなければなりませんが、実際はそうなっていません。

記憶に新しいところでは、畠山鈴香被告や三橋歌織被告です。

とくに、三橋歌織被告は無罪の可能性さえあります。

ですから、私は凶悪犯罪を犯した人は、死刑でなく、無期懲役で一生をかけて、罪を償えばいいと思います。