搾らなくていいんです。 | 助産師&針灸師で養蚕やって糸とか紡いでいる人と言えば岐阜県郡上に住んでる加藤祐里のことです

搾らなくていいんです。

先回の記事で
「搾乳励行の病院も
搾乳しないで直母だけの病院も
かちこちにおっぱいが張る人に差はない」と

書きましたが、
厳密にいうと
多いにあります

搾乳励行の病院は
直母が産後1日目から
で、開始がとても遅かったですし

3時間毎の時間授乳、夜は母子別室で希望者だけ
起きてくるという授乳でしたから

比べようがないのですが

直母の開始が遅いと

おっぱいの出口の開いてくるのが遅いので
乳汁が作られてくると排泄されずらく
なかで渋滞してしまうので張りが強くなりやすいです。

また、赤ちゃんを抱っこして
ママの手を置く位置
力の入れ具合、
赤ちゃんの大きくあいたお口にタイミングよくいれて
浅吸いにならないように深く含ませる
という一連の授乳動作の習得が
遅くなります。

赤ちゃんが欲しいときに欲しい分だけ作るのが
理想のおっぱいですから

「3時間で50cc飲ませる」より

赤ちゃんがお腹がすいたときに
「1時間で15cc飲ませる」ほうが理に適っているのですが

決められた授乳時間に赤ちゃんのお腹が
すいていればまだましだけど

赤ちゃんが寝てしまっていることもありますから

そうすると、ますます
赤ちゃんとおっぱいのリズムがあわなくなります。

いちばん、そこの病院で働いていて
やっかいだったのは

かちこちに張っていて、何回も飲ませるしかないのに
夜、授乳回数が少ないので

朝になったら赤ちゃんが飲めないくらい
張ってしまって

痛い搾乳を我慢してやって
(結局、よけいに張りすぎてしまうのですが)
直母がほとんどできずに退院してしまうことでした。

産後のママが眠ることは体力の回復には重要ですが
授乳を何時間も休むような眠り方は
おっぱいが張ってくる時期にはよくないのかもしれません。

一方、搾乳しない方針の病院は

出産中も乳頭マッサージで陣痛促進

カンガルーケアはもちろん、

お産後から母子同室・同床

授乳時間は全く決まってなくて
何分間あげたらおしまいとかのルールもありません。

6割くらいの方が産後3日位で乳汁が量になる感じ。

(残り4割のそうでない方についてはまたいつかお話します)

痛くなって、熱をもって「ひえ~」っとなる人もいるのですが、

赤ちゃんもお腹がすき始めて絶好調に泣き出す時期なので

ママを寝かしてくれない夜がやってきます。


頻回直母でおっぱいの出口が通りやすいのと
ママが疲れてヘトヘトになることもあって

おっぱいの張りのピークが早く終わる感じです。

カチコチに張って痛くなる人の割合は
どちらも変わらないと思うのですが、

産後3日目までに直母を経験した回数が全く違うので
飲ませ方も上達しています。

妊娠中からの母乳の指導も徹底しているので

眠れなくて文句を言う人もほとんどいません。

寝ている赤ちゃんを眺めて
「おっぱいを吸ってほしいから
はやく起きろ~って思います」って

つい昨日くらいまで
赤ちゃんが泣いたらどうしたらいいのかパニックになっていたママが

誇らしくみえてきます。

おっぱいの張りには必ずピークの時期があります。

そのピークの時期に
「赤ちゃんはこれ以上のおっぱいは作らなくていいと
言ってますよ」と体に覚えてもらわなければいけません。

そこで絞り続ける刺激を与えれば

「ずいぶん、たくさん飲むお子さんですね?
それとも、双子?ならもっと頑張らないと!」

と、おっぱいは張り切ってしまいます。

ですから、おっぱいが張って痛いから
直母の後にも搾乳を続けることは
あんまりおすすめしません。

赤ちゃんが小さいとか、直母が上手にできないとか
人によっていろんな事情がありますから

自分は分泌過多かも…と思われる方は

最寄りのおっぱいを相談できる助産師に
アドバイスをもらうようにしてください。

日本助産師会ホームページでは→ココ
全国の助産院の検索ができます。

助産院に通えなくても
往診してくれる助産師もいますので
良さげなところ2~3か所に電話してみてください