飲むとなんだかすっきりする 「エナジードリンク」
この10年ほどで目にすることが多くなったいわゆるエナジードリンクは、
おしゃれな缶で若い人も手に取りやすくなったのではないでしょうか。
エナジードリンクの中身は?
エナジードリンクの原材料はこんな感じです
※砂糖は原材料表示では「炭水化物」と表示
エナジードリンクには食物繊維がほとんど含まれないため
炭水化物=糖質=砂糖です
<エナジードリンクA(A社)>
砂糖類(砂糖、ぶどう糖)、高麗人参根エキス、L-カルニチン、L-酒石酸塩、塩化ナトリウム、ガラナ種子エキス、クエン酸、香料、クエン酸Na、甘味料(D-リボース、スクラロース)、L-アルギニン、保存料(安息香酸)、カフェイン、ナイアシン、着色料(アントシアニン)、イノシトール、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB12
★100mlあたりの砂糖とカフェインの量
砂糖:13g カフェイン:40mg
★355ml缶1本あたりの砂糖とカフェインの量
砂糖:46g カフェイン:142mg
<エナジードリンクB(R社)>
砂糖類(砂糖、ぶどう糖)、酸味料、香料、L-アルギニン、着色料(カラメル)、カフェイン、ナイアシン、パントテン酸Ca、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB12
★100mlあたりの砂糖とカフェインの量
砂糖:10.8g カフェイン:32mg
★250ml缶1本あたりの砂糖とカフェインの量
砂糖:27g カフェイン:80mg
<エナジードリンクC(R社)> ※シュガーフリータイプ
酸味料、香料、L-アルギニン、着色料(カラメル)、カフェイン、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、増粘剤(キサンタンガム)、ナイアシン、パントテン酸Ca、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB12
★100mlあたりの砂糖とカフェインの量
砂糖:0g カフェイン:32mg
★250ml缶1本あたりの砂糖とカフェインの量
砂糖:0g カフェイン:80mg
注目したいポイント
・A、Bの原材料のうち最も多いものは砂糖類
・A、Bでは1缶あたりの砂糖の含有量がWHOが推奨する砂糖摂取量の上限25g
(成人・1日当たり)を超えている
・いずれもカフェイン含有
・いずれも合成食品添加物を多数使用(Cに至っては原材料が水と食品添加物のみ)
体に良いとは言えないものばかり・・・・。
でもカフェインの量はコーヒーの方が多いのでは?
コーヒー:60mg
紅茶:30mg
煎茶:20mg
ウーロン茶:20mg
量ではコーヒーの方が遥かに多いですが、
エナジードリンクに含まれるカフェインは人工的に合成したものであることが大きな違いです。
では合成カフェインの危険性はあるのでしょうか?
安価であることから加工食品・清涼飲料水に使用されている合成カフェイン。
また、天然のカフェインと比べて遥かに吸収スピードが速いため、
摂取してすぐに強力な効果を発揮し体にエネルギーがみなぎるように感じさせます。
元々自然界になかったものを体に入れ、通常ではありえない反応が起こる。
これを繰り返したら体に大きな負担がかかることは言うまでもありません。
エナジードリンクは元気になる?
エナジードリンクを飲むと元気になるから、
と疲れた時のリフレッシュ目的に飲む人もいるでしょう。
たしかに、飲んだ直後はなんとも言えない爽快感があり、疲れが取れたように感じます。
・・・感じさせてられているとしたら・・・?
エナジードリンクで元気になった気がするのは、砂糖とカフェインが起こした錯覚!!
甘いエナジードリンクを飲むと体はどうなるのでしょうか。
精製された砂糖は体にすぐ吸収され、血糖値が急上昇!!!
血糖値を下げるために膵臓からインシュリンが大量に分泌され、
今度は逆に血糖値が急下降。
血糖値が低い状態の時はだるさや疲れを感じ、さらに糖分を欲し甘いものを摂り、また血糖値が急上昇・急下降の繰り返し。
エナジードリンクを一度に何本も飲んでしまうという人はこの血糖値の乱高下により低血糖状態にあるのです。
疲れを取るためにエナジードリンクを飲むのに、
そのエナジードリンクが疲れの原因となっているなんて皮肉な話です。
甘いものがやめられず血糖値の乱高下を繰り返していると、
やがて通常の食事をした時もインシュリンが過剰分泌し、
血糖値が下がりすぎて常に低血糖状態になります。
低血糖状態だとイライラする、怒りっぽくなる、不安になる、だるくなる、疲れやすくなる、眠くなる、朝スッキリ起きられないなどの症状が慢性化。
自分が精神不安定なのはそういう性格だからだ、疲れやすいのは体質だと思っているみなさん。
普段甘いものを飲んだり食べたりしていませんか?
カフェインによる覚醒作用
カフェインを摂取することにより眠気が覚め、疲れが取れたように感じるため、
一時的に体を奮い立たせるためにはエナジードリンクは有効でしょう。
ただし、カフェインには多くの副作用があります。
不安になる、怒りっぽくなる、イライラする、落ち着かないといった精神症状から眠気や頭痛など。
禁断症状として震えが止まらなくなることもあります。
(アルコールとの同時摂取ではカフェインを分解する能力が低下しさらに危険!)
大量摂取した場合は幻覚、意識障害を伴い、ひきつけを起こし最悪死に至ります。
エナジードリンクによる死亡例
実際にエナジードリンクを飲んだことが原因で命を落とした事例があります。
九州で20代男性が死亡(2014年)
この男性はガソリンスタンドで夜勤をしており、眠気覚ましとしてカフェイン150mgを含むエナジードリンクを1年以上常飲していたとのこと。また、カフェイン錠剤も服用。
亡くなる1週間ほど前から体調不良を訴えており、嘔吐することもあった。
ある日の午前11時30分ごろ大量に嘔吐しその後寝ていたが、午後4時ごろ意識を失っているのを家族に発見され、死亡が確認された。
カフェインの致死量は体重1kgあたり200mgと言われていますが、
死亡例はいずれもそれを遥かに下回るカフェイン摂取量であったことがわかります。
アルコール同様、カフェインも人それぞれ許容量が大きく異なり、
また体調や食べ合わせによっても作用が変わってくる可能性があるのです。
毎日エナジードリンクを飲むのが習慣になっているという人は赤信号かもしれません。
そのエナジードリンク、大切な命を捨ててまでして飲みたいですか?
大人ですら命を落とすこともあるエナジードリンク。
小さいお子さんが飲んだ場合さらに影響は大きくなるでしょうから、くれぐれも飲まさないようにしましょう。
(エナジードリンクの缶には「子どもや妊婦、カフェインに敏感な人は飲用を控えるように」との注意書きがあります)
仮に大きくなってからエナジードリンクを飲んでも「おいしくない」と感じるよう、
普段の食事で本物の食べ物、本物の味を覚えさせてあげたいですね。