前回のカバードコール売りについての続きで、今回は特別ルールについての説明のようです。

(その9:適格カバードコール / その11:特別ルールの続き

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税と投資~個人投資家へのガイド~
(http://www.optionseducation.org/content/dam/oic/documents/literature/files/taxes-and-investing.pdf)

カバードコール ― 特別ルール

アットザマネー(コールの行使価格が、行使可能である最低の行使価格を決定する際に用いられる株価と等しい)またはアウトオブザマネー(市場価格より上の価格)の適格カバードコールの売却では、対象株の保有期間の継続を認めている。しかし、インザマネーの適格カバードコールでは、オプションの存在中、株式の保有期間は停止される。さらに、インザマネーの適格カバードコールに関わる損失は、長期キャピタルロスとして扱われ、その時に損失が実際に計上される場合、売却または対象株の引渡しによる収益は、長期キャピタルゲインとして扱われることとなろう。

付け加えて、カバードコールが1年以内に損失で処分され、かつその翌年にその株が利益を伴う形で売却された場合、17-18ページに記載されている損失繰延ルールの適用を避けるためには、コールの処分日から少なくとも30日間、その株を保有しなければならない。一般的に、30日間の保有期間が満たされているかどうかを判断する際には、株式が『裸』で保有されている日のみがカウントされ得る。しかし、アットザマネーまたはアウトオブザマネー(しかし、インザマネーは対象外)の適格カバードコール売りポジションを保有している間は、保有期間はカウントされ続ける。同様に、対象株がある年に損失にて売却され、かつコールオプションからの利益が翌年に含まれている場合、株式の売却後少なくとも30日間コールが保有されていない場合、損失繰延ルールが適用される。

例:
2014年12月1日、1株あたり36ドルでXYZ社株式100株を購入。同じ日に、XYZ・2月満期・行使価格35ドルのコールを、コール価格(プレミアム)3ドルで売却。2014年12月15日に、このコールをコール価格5ドルで買い戻しを行い、ポジションを解消。2015年5月1日、XYZ株100株を、1株あたり45ドルで売却。2014年12月15日のオプション買い戻し後および2015年5月1日の株式の売却前には、XYZ社の株式またはオプションに関して、買いポジションも売りポジションも一切積み立てられなかったとする。
→XYZ株はコールのポジションクローズ後30日以上保持されているため、損失繰延ルールの対象とはならない。

例:
2014年11月6日、XYZ株を100株、42ドルで購入。同じ日に、XYZ・2月満期・行使価格40ドルのコールを、コール価格4ドルで売却。2014年12月27日、このコールを6ドルで買い戻すことで、ポジションを解消。2015年1月6日、XYZ株を全て46ドルで売却。
→利益を伴う形での対象株式の売却の前年にコールポジションを損失で閉じた後、XYZ株は30日間保有されなかったため、このカバードコールは損失繰延ルールの対象となる。コールからの損失は、2014年12月31日時点のXYZ社の株式における未確定利益の範囲内で、2015年まで延期されることになる。

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別に大して特別なルールでも何でもなかった気がしますが、要は結局、年をまたぐ時にカバードコール売りで損失を確定させておいて節税を図ろうとしても、そうはいきませんよ、認めません、という感じのようですね。こちらもインザマネーのコールのみが対象のようなので、アウトオブザマネーのコール売りしかしない立場としては関係なさそうです。
…と思ったんですが、よく読んでみたら、インザマネーのみなのは保有期間の非カウントのみで、年をまたいだ時の損失繰延がうんぬんはアウトオブザマネーも対象なのでしょうか?
まぁともかく、こういう節税の目的でコール売りをしたりはしないので、個人的にはどっちでも別に関係ない・どうでもいい話な感じです。

次回で割と複雑だったこの相殺ポジションの章も終わりのようです。完全に理解できたのか怪しいというか正直できていない気しかしませんが、この複雑なルールはあえて全てを完璧に把握しておく価値もないと思うので、『複雑なルールがあるから、小手先のセコイ取引で節税を試みるのはやめておこう・意図せぬ形でルールに引っかかって損失の確定が認められなかったりしても、それはそういうものなんだと諦めよう』という姿勢でいれば十分なのではないかなと思います。