機械的に記録してるだけだからあんまり心理描写とかないけど、とりあえず書いておく。


あなたの言葉を忘れないように。




りんさんの行き着けらしい、駅前だけど人の少ない小さな喫茶店に入った。

頼んだのは、りんさんがコロンビアとレアチーズケーキ、私がブレンドとトースト。


注文のときりんさんが

「食器選んでいいですか?」

ってお店の人と奥に消えていったから、そんなサービスもあるのか…なんて1人で感心していた。


コーヒーが運ばれてきて、

りんさんのは白地にかすかに緑がかった青のラインが入ったウェッジウッドのカップ。

私のは、深い青で花模様が描かれたカップ。とっても綺麗なカップ。


「俺が選んだの。あなたに合うと思って」


そう言ってくれた。



私「母親が、ほんと病気に理解ない人で…わたし食物アレルギーも持ってるって言ったじゃないですか?
あれも゛意識しすぎなんじゃないの?゛とか言ってきて…」

り「うっわそういうタイプか!めんどくせぇぇ…!」


私「すごく健康な人なんですよ。だから、自分の友達で更年期障害に悩んでるって人の話とか聞いても
『気にしすぎじゃない?意味分かんないよねー』
って私に言ってきたりして…正直、聞いてるの、すごく嫌だ。
もちろん彼女にもストレスがあることくらい分かってるし、彼女を強いと思ってしまう私にも問題があるのかもしれませんけど…」



り「いや、いるよ。そういうタイプの人間。もちろん人間みんな悩みは抱えてるけど、強い人間ってやっぱいるよ。

気合いでストレスをはね除けられる人間。
気合いでストレスをはね除けられると思ってる人間。

そういう人はさ、他人の苦しみが分かんないんだ。

そういう人たちに限って経験を年齢と結びつけようとするけど、それは違う。
俺たちの苦しみって俺たちにしか分からない特殊なものじゃん。

それを経験したことが無い人に分かるはずがない。

だけど理解しようとすることはできるはずなんだよ。
その点彼らは他人の苦しみが分からないことを分かってない。





知らないことを知らないっていうのは、ある意味最も罪深い。

この世にはそういう種類の悪が多すぎるんだ。





でも考えてごらん。
彼らに比べて俺たちには相手の苦しみを想像する力がある。

俺たちの方がその分だけ彼らより優れているんだ…って言うと語弊があるかもしれないけど。
いま彼女はあなたが苦しんでいることを知らないことを知らない。

それはとても可哀想なことなんだよ。

だから、あなたが分からせてあげるんだ。

少しずつ伝えていかなきゃ。

もういやだ、って何回も思うだろうけど。

彼女が他人の痛みを知る、最初で最後かもしれないいい機会だよ。

それに、そういう人間に限って年をとってから他人には分からない苦痛を味わったりするんだ。誰に言っても分かってもらえない苦しみをそこで初めて知って、相手の不調を弱いだけと笑い飛ばした昔の自分を思い出す。まぁ、その時になって後悔しても遅いけどね」



もちろんりんさんがぶっ続けで話したわけではないけれど、大体こんなことを言っていた。
あくまで記録。



いったんここで切る。