その日の夜も、2回くらい過呼吸をおこした。


次の日の午前は学校を休んで病院に行った。


先生は明るいおじいちゃんで、


「あっはっは。ちょっとストレスがたまってたみたいだね。一種のパニックをおこしたって感じかな。そんなに心配する必要はないよー。とりあえず、セルシンっていう呼吸苦しくなった時のための薬出しとくからねー


って言ってくれた。




いったん家に帰って昼食を食べて、5限から出るべくもう一度家を出たら。




何かが怖くて、歩けない。






朝は平気で出歩けたのに何故?と思ったけど、病院へは母と一緒に行ったからだと分かった。


理由は全く分からなかったけれど、とにかく1人でいることが怖かった。


ちょうど会社が休みだった兄が玄関先でふらついている私に遭遇して、

「とにかく今日は休め」

と言われてその日は全面的に学校を休んだ。


バイトはやめた。


それからしばらくは、午前中に学校に行っただけでとてつもない疲労を覚える日が続いた。




本来は身体を休めるべきなのは分かっていたが、ダンスサークルのライブが刻々と近付いており、体調不良と闘いながら練習をする日々が続いた。



親が「学校もロクに行けていないのにサークル?」



と批判の目で見ているのは分かっていた。



それでも私は多少の無理は覚悟で練習に行き続けた。

なぜなら演劇に専念するためにライブをもってダンスサークルをやめることを決めていたから。



そしてある日の通し中、ついに過呼吸で倒れてしまった。



悔しかった。


体調管理もできない自分が情けなかった。


何より、もう二度と踊れなくなってしまうような気になって怖かった。

(そんなことは無かったけど、もちろん)




何とかしてライブを乗り切り、大好きな先輩にとっても嬉しい言葉をもらって、幸せな最後を飾ることができた。

頑張ってよかった!と心から思った。




しかし、まだ万全とはとても言えない私には、既に次の演劇の現場が決まっていた。