福岡サンパレスで行われた九州吹奏楽コンクールを聴いて来ました。
今年私が座った席は午前も午後もホール端よりだったので
特にバランス等を正確に聴きにくい場所だったのが残念ですが、 
気にせずにいつも通り書いて行きたいと思います。  
  
感想の後に当日演奏直後の個人的な印象もついでに書いてます。
実際の審査結果とは全く関係ありませんし、
プロの先生方が出された厳正な結果に対しての批判精神は全く持っておりません。
大会に参加された全ての団体をリスペクトしております。
では。
  
※午後の部も追記しました。


  
  
プログラム順 学校名 人数
課題曲(Ⅰ~Ⅴ) 自由曲
 
 
 
 
 
1. 県立長崎東 46
 Ⅳ シダス(T.ドス)
 
去年は朝二で今年は朝一となんか籤運が悪いですね。
ですが演奏自体は今年の方がはるかに良かったと思います。
直管楽器の人数が少なめでしたが十分鳴っていて木管との噛み合わせも良好。
自由曲は前半ややピッチが気になりましたが尻上がりに安定。
中盤以降のサウンドはとても豊かでそして柔らかったです。
山場でしっかりバンド一丸となって歌えていて良かったです。
 
 
個人的印象:銀-
 
  
  
 
2. 県立熊本北 55
 Ⅳ ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)
 
こちらは2年ぶりですかね。 
旋律隊は積極的な主張でしたが、マーチを旋律隊だけが引っ張っていってるような状態で
ハーモニー隊・リズム隊と距離を感じました。
自由曲は打楽器からラッパ登場までの緊張感が良く良い立ち上がり。 
マーチでは分離してるように感じましたがこういう曲だとそれが逆に良かったかなと。
違う動きをしているパートがゴチャ付かずにはっきり聴こえてきました。
  
  
個人的印象:銀-
 
 
 
 
3. 筑紫台 55
 Ⅳ バレエ音楽「アパラチアの春」(A.コープランド)

 

冒頭4小節は相変わらず美しい見事な出来。
直後の第一フレーズで 若干前のめりで崩れましたが直ぐに立ち直り。
トリオは県大会よりも更に良くなってましたね。
トランペットの滑らかななメロディも安定感抜群で素晴らしかったです。
終盤の低音セクションのクレッシェンドも壮大で力強かったです。
自由曲は特に強奏部分での整理がさらに成されていましたね。
県大会の時は若干硬質さが目立ってましたがそれも綺麗に角が取れて
上手く溶け込んでいました。  
結果は銀賞との事でしたが、私の個人的感銘度は非常に高かったので
即売CDを購入させてもらいました。 
  
 
個人的印象:金
 
 
 

4. 県立コザ 55
 Ⅳ バレエ音楽「中国の不思議な役人」(B.バルトーク)

 

確かコザは男の先生だったよなーと思ってプログラムをパラパラめくってたら
どうやら前任の先生は那覇高校に行かれたようですね。
というわけで新体制になります。
例年のコザ高校は九州大会出場校で一番と言っていいぐらいの明るいサウンドが
特徴の団体でしたが、やや色合いが深め暗めに感じましたかね。
ただマーチはともかく自由曲にはその色合いがプラスになったかなと。
冒頭のTb・Tpのソロが譜割りが不正確で少々残念でしたが、
その後は打楽器を筆頭に安定してました。
相変わらずコザの生徒は技術レベルが非常に高いです。 
後半部分での常に淡々とした指揮と奏者のテンションアップのギャップに
やや違和感もありましたが、終始手堅く破綻せず難曲を演奏しきっていました。
   
  
個人的印象:銀+
 
  
 
  
5. 県立大島 55
 Ⅱ 復興(保科洋)
 
ベテラン指揮者の力を持ってしても、やはりⅡの冒頭をまとめ上げるのは
難しかったようですね。以降もⅡを演奏した学校が幾つかありましたが、
ファンファーレがカチッと嵌っていた演奏には出会えませんでした・・・。  
もう一つの山場である中間部入りと終わり、バンド全体が無音状態になるのですが、
ここに関しては大島高校は非常に素晴らしかったですね。
停滞せずに音楽が流れていました。
自由曲も中間部の上品な旋律が印象に残っています。
復興はラストに鋭い展開で終わるのですがそこでしっかり鳴りきらずに
中途半端に終わってしまったのが勿体無かったですね。 
    
   
個人的印象:銀+
 
 
  
 
6. 長崎日本大学 55
 Ⅳ ア・ウィークエンド・イン・ニューヨーク(P.スパーク)

 

課題曲演奏時、ああ肩の力が抜けてて程良いマーチで良いなあと思いながら、
さあこれは自由曲になって弾けてくれるのかなと期待したのですが・・・
とても消極的で躍動感に欠けるスパークで残念でした。
1人1人が一生懸命吹いている止まりで、パートやセクション単位での
押し引きが感じられませんでした。  
     
  
個人的印象:銅
 
 
 
 
7. 鹿児島情報 55
 Ⅳ エルフゲンの叫び(G.ローレンス)
 
マーチは全体的に音をかなり短めに処理していたでしょうか。 
前半にⅣを演奏した学校の中で完全に異質に聴こえました。
太鼓系の打楽器が非常に上手かったですね。  
自由曲は城東時代の最後の年の曲でしたかね、懐かしい。 
冒頭の原曲Flソロを今回もObで。 
今回は課題曲が短いので前回よりも中間部が長めのカットで
非常に落ち着いて聴けました。
屋比久先生の弱奏というのは本当にうっとりと惹きつけられますね。  
吹奏楽というのを一瞬忘れてしまう程に。
現時点で相当上手いのですが、あえて言うとTubaがテンポ的に
飛び出し気味の箇所が両曲ともちらほらありましたかね。
まあ全国までには修正されるでしょう。   
  
  
個人的印象:金
  
 
 
   
8. 佐賀学園 55
 Ⅴ 華麗なる舞曲(C.スミス)
 
華麗なる舞曲が控えてる状況で現代曲風味の課題曲Ⅴというのは
生徒達に取って物凄く難しい組み合わせでしょうね。
そのあまりに違う曲想もあってか、自由曲の入りは非常にインパクト大でした。
それまで抑制された感情が遠くへ吹き飛ばされる様な。  
各ソロ陣は十分立派なパフォーマンスでブラボー。
  
     
個人的印象:銀+
 
 
 
 
9. 県立修猷館 55
 Ⅳ 復興(保科洋)
  
県大会の時よりも更にコンパクトに仕上げられたマーチでした。
初めて聴いた方々にはややもすると元気がない様に聴こえたかも知れません。  
逆に自由曲は拡散と収束がより目まぐるしく非常にドラマチックでしたね。  
流れ的にSaxソロはもっと情熱的に行って欲しかったですが、全体的には
最後まで指揮者と生徒の一体感が非常に感じられた好演でした。  
     
     
個人的印象:金
 
 
 
 
10. 精華女子 55
 Ⅳ ルイ・ブージョワーの賛歌による変奏曲(C.スミス)
 
九州大会までにはきっちり仕上げて来た、という感じでしょうか。
県大会まではとことん「圧倒する」音楽でしたが、
今回は「共有する」音楽だったように思います。
全国大会の総合一位を狙って欲しいです。 
   
   
個人的印象:金+
  
  
 
 
11. 宮崎学園 55
 Ⅳ ウィンドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌師)
   
場面問わず12分間ずっとTbの存在感が・・・。
76本のトロンボーンか!!
自由曲の木管低音をじっくり聴きたい所まで浸食されていて、
幾らなんでも大味でした。     
     
 
個人的印象:銅
  
  
 
 
12. 大分中高 55
 Ⅳ バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より(M.ラヴェル)
 
この学校、Tuttiのサウンドはそこそこ良いと思うんですよね。
こういう自由曲だとどうしても個々の技術力が裸になってしまいますが。
もっと自信を持って吹いて欲しい所。 
たとえ難しい個所でも、噛み合ってる所は非常に美しく鳴っているので。  
 
  
個人的印象:銀-
 
 
  
 
13. 大牟田 55
 Ⅲ 「鳳凰」~仁愛鳥譜(鈴木英史)
 
課題曲中間部が、県大会の時にはユーホニウムを軸に大変素晴らしい
歌いっぷりだったのですが、何故かおとなしくなってて残念。  
打楽器はより粒がはっきりしてて明瞭で良かったですけどね。   
自由曲は県よりもさらに良くなってました。 
終盤は5~6年前の大牟田高校に若干戻ったような気がしました。
これでまた九州大会常連に戻れるかな!?
     
   
個人的印象:銀
  
 
  
 


午前の部 個人的印象

金+ 精華
金   情報 筑紫台 修猷館
金-  
銀+ 大島 コザ 佐賀学園 
銀   大牟田
銀- 長崎東 熊本北 大分中高 
銅   長崎日大 宮崎学園

 

 

 

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14. 福工大附城東 55
 Ⅳ 管弦楽の為の3つの交響的素描「海」より第3楽章(C.ドビュッシー)
  
県大会の時はややせせこましく聴こえたのですが、見違えるようにスッキリしてました。
午前に比べてホールがしっかり鳴ってくれるというのもあって、
「重厚さ」という点では午後の部のⅣを演奏した学校全てしっかり表現できていました。
城東高校はそれプラス「軽快さ」もしっかり表現出来ていたので非常に説得力がありました。
自由曲も非常に整理されてましたね。各声部が埋もれずしっかり聴こえて来ました。
ダブルリードの相変わらずの巧さに酔いしれつつ、楽しませてもらいました。
  
   
個人的印象:金
 
 
  
 
15. 創成館 45
 Ⅲ ピエトロ・モンタージュ(鈴木英史)
 
前回聴いた時は「丁寧に、正確に、正攻法で」という印象があった学校なのですが、一転
特に課題曲はかなり個性的な解釈でしたね。
狙いはある程度分かるのですが、打楽器と管楽器でその狙いにズレが生じて
終止落ち着かない演奏になってしまっていました。
そして、突発的に音量落としてじわじわクレッシェンド等をする際は
しっかり息のスピード感を揃えないと雑然とするので注意して欲しいです。    
 
 
個人的印象:銅
 
 
  
  
16. 八代白百合 55
 Ⅱ ジャズマンの憂鬱(A.ボイセンJr.)
 
速い速い速い課題曲Ⅱ。去年も課題曲が相当速かったような。
それが解釈なのか自由曲の時間の都合なのか果たして。
課題曲Ⅱで「疾走感」を表現するというのはかなり勇気のある冒険でしたね。  
後半の対旋律を全面に押し出す手法も非常に興味深く聴かせてもらいました。 
さて今年もドラムセットありの自由曲。
自分達の長所・個性・拘りが上手く発揮できる自由曲を選択するというのは
大変好感持てます。   
2曲とも全体的に上手なのですが、今年は木管があまり鳴り切らないようで、
強奏部分での色合いに変化が無くやや単調に聴こえてしまいました。    
  
   
個人的印象:銀
 
 
  
 
17. 県立佐賀北 55
 Ⅳ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(P.マスカーニ)
 
2曲とも良く消化出来ていて手堅い演奏。
昨年一昨年と比べてバンド全体の音が非常に明るくて良い成長をしてるなと思いました。
明るくなっているという事はそれだけ奏法的により自然に吹けているという事ですし
音も伸び伸びとしているので聴いてて安心感があります。
 
  
個人的印象:銀
  
 
  
 
18. 市立別府商業 38
 Ⅱ 朝鮮民謡の主題による変奏曲(J.チャンス)
 
40人弱の演奏でしたが非常に良く鳴っていましたね。
多少技術的な粗さも見え隠れしていましたが、まとまっていました。
九州大会高校の部でこの自由曲は相当久々かな?懐かしい。
コルネットのラッパソロは非常にレガートでまろやかでブラボー。  
終盤はこれまた伸び伸びとしたTuttiトーンで壮大で素晴らしかったです。
   
  
個人的印象:銀-
  
 
  
 
19. 県立小倉 50
 Ⅴ 紺碧の波濤(長生淳)
 
pとfでしっかり表情が変わるのが良いですね。
スコアを忠実に熟しつつ楽曲に支配されずに存在感を発揮するのは
非常に難しいのですが自由曲でもそれが出来ていて◎
 
    
個人的印象:銀+
  
 
  
 
20. 県立那覇 55
 Ⅳ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(P.マスカーニ)
 
課題曲は打楽器とトランペットが完全に気負い過ぎでバランスを崩していたのが
ちょっと残念でした。そのせいでやや落ち着きが無いマーチに。
自由曲は各パートの役割が明確に意思統一されていました。
表情の付け方が音量変化のみに頼り過ぎるきらいがあるので
もっと違う要素で抑揚を付けれたらなと思いました。
   
     
個人的印象:銀-
  
 
  
 
21. 中村女子 55
 Ⅱ 歌劇「アンドレア・シェニエ」より(U.ジョルダーノ)
  
課題曲は県大会の方が良かったかな?前半部分はかなり迷いが感じられました。
Trio以降は安定。バンドの焦点が定まってからは非常に合奏力の高い見事な演奏でした。
自由曲はオペラが十八番の中村らしい素直で暖かい歌いっぷりで、
私だけでなく会場にいた沢山の方が微笑ましく聴いていたのではないでしょうか。
隣に座ってた方は演奏終了後に「これは代表だろう!!」と呟いてました♪
  
   
個人的印象:銀+
  
  
 
 
22. 北九州市立 55
 Ⅴ 鼓響…故郷より(天野正道)
  
課題曲Ⅴの3校の中ではここが一番良かったかなと。
自由曲も非常に集中力の高い演奏でお見事でした。
同校の演奏の中で名前が戸畑商業の頃から含めても個人的に一番でした。
  
 
個人的印象:金-
  
 
   
 
23. 玉名女子 55
 Ⅳ 復興(保科洋)
 
まず冒頭の音を聴いてすぐに「変わったな」と思いました。
もちろん良い意味で。
肩の力が抜けた余裕のあるトーンで美しかったです。
それがffになっても全く荒くなったりせずにキープ出来ていました。 
自由曲の中間部のスネアが加わってくるシーンはとても感動的で
この日一日を通して見ても特に印象に残っています。   
これは全国でも期待出来るのでは!?
初銀と言わず初金を取って来て欲しいです。  
 
 
個人的印象:金+
  
  
 
 
24. 県立松陽 55 
 Ⅲ 「レクイエム」より(G.ヴェルディ)
  
打楽器の入りは最高。しかし管楽器がそこに上手く乗っかり切れずにやや流れ気味。  
中間部もどこか嵌らない印象。
音は例年通り綺麗なのですが、では木管と金管がブレンドしてたかというとやや今一つ。  
自由曲はsolo・soliの個人技が大変レベル高く流石の演奏。     
  
 
個人的印象:銀+
  
  
 
 
25. 鎮西学院 55
 Ⅱ いにしえの時から(J.ヴァン=デル=ロースト)
 
去年は大音量で分離したサウンドに度肝を抜かれましたが今年は実にオーソドックス。
中音域のパートがそれぞれもっと整理されると良いですね。高音と低音に負け気味なので。 
  
    
個人的印象:銀-
  
 
  
 
26. 県立都城商業 55
 Ⅳ 交響詩「ローマの祭り」より(O.レスピーギ)
  
非常に元気の良い躍動感があるマーチ。去年より明らかに金管が上手い。
だからこその自由曲「祭」でしょうか。 
バンダTp3人超ブラボー。
最後まで勢いが落ちずに突っ走っていて爽快でした。
非常に素晴らしい演奏で一日が終わりました。   
   
 
個人的印象:銀
 
  
   
   
  
   
  
午後の部 個人的印象

金+ 玉女
金   城東 
金- 市立
銀+ 中村 松陽 小倉 
銀   白百合 佐賀北 都城商業  
銀- 鎮西学院 那覇 別府商業
銅   創成館




代表に選ばれたのは 鹿児島情報・精華女子・玉名女子でした。

愛知県で行われる全国大会でも名演を残してくれる事を期待しています。