2016-03-05 20:08:01

【放射能のバカヤロー!】双葉町民が埼玉県加須市で怒りの声~「故郷を返せ」「原発事故さえなければ」

テーマ:被曝

原発事故さえなければ、今ごろ自宅に戻れていた。故郷を奪った「放射能」への怒りは「バカヤロー」という言葉になって響いた。福島県双葉町から埼玉県加須市に避難していた町民が5日、避難生活を送った旧騎西高校に集い、原発事故に対する怒りを語った。2020年の東京五輪に向け避難者の帰還政策を加速させる安倍政権に対し、避難者の1人は言った。「バカ安倍は安全だと言っている」。故郷を汚された被害者の言葉は、事故から5年を経て忘れつつある私たち1人1人にも突き刺さる。



【「返せよ!オラの双葉町」】

 ギター1本。歌というより絶叫に近い声が響いた。

「放射能のバカヤロー! 何でみんなを苦しめる?」

「帰れるのはいつの日か」

「青い空の双葉町、灰色にしたのは誰か」

「オラたちが悪いことをしたのか?」

 パイプ椅子に座って聴いていた男性の目からは、いつしか涙があふれて止まらなくなっていた。ハンカチでぬぐってもぬぐっても、涙は止まらなかった。

 歌っていた荒引定男さん(66)の自宅は、福島第一原発から5kmほどの場所にあった。「オラの住んでいた山田地区は、いまだに13μSv/hもある。看板のスローガンじゃないが、何が『明るい未来』だ!」

 歌の合い間に「目をつぶると思いだすよな、故郷を」と語りかけると、先ほどの男性が「んだ、思い出す」と答えた。荒引さんの表情も泣き顔のようだ。「思い出して聴いてくんちょ」と歌ったのは、このような歌詞だった。

 「返せよ!思い出いっぱいのオラの双葉町」

 故郷に帰りたいけど帰れない。ステージ後、汗を拭いながら荒引さんは「もう帰れないと思う」とつぶやいた。しかし5年が経ち、そういう当事者の苦悩が忘れられてはいないか。「果たして政治家は、真剣に謝ったか?」と荒引さん。しかし一方で、複雑な想いも口にした。

 「正直言うとね。今は忘れたいよ。そっとしておいて欲しい。こうやって人前で歌っているのも、忘れるためかもしれないよね。ほら、酒を呑むのだって、1人より大勢でパーッと呑んだ方が発散できるでしょ?」

 私は「そうですね」と言うより他に言葉が見つからなかった。故郷への想いと原発事故への悔しさ。当事者にしか理解できるはずのない葛藤。「節目の5年」という手垢のついた表現がいかに陳腐か、お分かりいただけよう。
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「放射能のバカヤロー」と絶叫した荒引さん。「人は

恨まねえけど、原発は憎たらしい」

=埼玉県加須市・旧騎西高校


【「すぐに帰れると思っていた」】

 旧騎西高校は、2011年3月30日から2013年12月27日まで双葉町民が避難先として身を寄せた。避難者数は一時、約1400人に上った。2年9カ月にわたる避難生活を、小丸栄子さん(82)=双葉町両竹=が振り返る。

 「あの日、私は自宅に1人でいてね。気付いたら首のあたりまで水に浸かって、やっとの思いで2階に逃げたの。自衛隊の人に避難所に連れて行ってもらって、ようやく孫たちとも合流できた」
 凍てつくような寒さの中、洋服は海水で濡れたまま。川俣町の避難所に移動しても着替えることは出来なかった。埼玉に移動する直前、ようやく郵便局などからまとまった現金の引き出しを許された。

 「これはきれいすぎるわね。初めは畳だけだったのよ。何とか用意した段ボールも低いから、中まで全部見えてしまった。でもね、確かに大変だったけど井戸川町長(当時)についてきて良かったと思ってる。放射線量の低い土地に私たちを避難させて守ってくれたんだもの」

 旧騎西高校の一室で、当時の〝段ボール生活〟が再現された。避難者はいくつかの段ボール箱を並べ、自分のスペースを確保した。それでも、1人あたりのスペースは畳半分ほど。女性専用の部屋など用意されるはずもなく、着替えなどプライバシーも何もない。家族が発作を起こしても、雑魚寝状態で看病するしかなかった。別の女性は「隣の人の歯ぎしりや寝言が聞こえた」と苦笑した。「すぐに帰れると思ったから、何も持ち出さなかったわよ。津波がおさまるまでの避難だと思ったんだもの」。川俣町では入浴できた人もいたが、せっかく汚れを洗い流しても真新しい肌着には替えられない。まさに着のみ着のまま。誰もが、気付いたら「避難者」になっていた。しかも、その避難は本当に正しい方向だったのか。「西さ逃げれば良いと思っているから、分かんねえもの。結果的に悪い所、悪い所に逃げていた」。
 おにぎり1個を家族で分け合って食べた。カップラーメンは何よりのごちそうだった。おにぎりに飽きてしまい、どこからか調達してきた焼肉のたれをつけておにぎりを食べていたという。つらかった避難生活。しかし、もっとつらいのは、津波の残像だ。

 「目の前で人が流されていった。私は何も出来なかった。今でも時々、あの光景が思い出される。頭から離れません」

 女性は涙ながらに語った。津波に原発事故。安倍晋三首相には決して理解できぬ被害者の苦しみが、今なお続いている。
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着のみ着のままで避難した双葉町民は、プライバシー

など全くない避難生活を強いられた。段ボール箱

での仕切りのみ。「原発事故さえなければすぐに戻れ

たんだ」と女性は語った


【「バカ安倍は安全だと言っている」】

 双葉町民らが当時を振り返っていた頃、安倍首相は福島県内を巡っていた。
 「バカ安倍は安全だ、戻せと言っている。戻れるわけねえべさ」

 テレビ局のカメラが撮影していることも気にせず、矢内進さん(76)は怒りをぶちまけた。

 「国道6号線が全面開通して、みんなタイヤで放射性物質を持って行っているんだ。分かってねえと思うけどな。政治家も官僚も安全だ安全だと簡単に言ってるけど、安全なら家を貸すから住んだらいいさ」

 矢内さんは何度も「分かってねえんだよ」と繰り返した。双葉町内にある娘の自宅は18-20μSv/hもある。「除染?除染なんかしたって駄目だっぺはあ」。

 原発事故被害者を切り捨てて東京五輪に邁進する安倍政権。矢内さんが期待するのは、夏の参院選だ。「18歳から投票できるようになった。若い人は、こういう状況、今の政治をどう判断するのかな」。福島の汚染が解消されぬまま、再び原発が動かされることへの怒り。「地震や津波だけなら良かったんだ。その後に原発がな…」
 小丸さんも安倍首相に注文をつけた。

 「こういう場に来て、私たちの話を聴くべきよね。もう忘れちゃってるのね」
 そう、私たちに出来る事はまず、原発事故被害者の言葉に耳を傾ける事。そして、放射性物質の拡散によって苦しめられている人々の存在を忘れない事なのだ。


(了)

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