【任期あと2年】佐藤雄平福島県知事をリコールへ ~最後通告突き付けた福島の女たち | 民の声新聞

【任期あと2年】佐藤雄平福島県知事をリコールへ ~最後通告突き付けた福島の女たち

福島県内の女性らが25日夕、佐藤雄平知事に〝最後通告〟を突き付けた。政府による大飯原発再稼働に明確に反対することや、東京電力の株主総会で脱原発の意思表示をすることなどを要請。実行されない場合にはリコール運動を本格的に展開させることも視野に入れている。県民の多くが日々の生活に精一杯の中でリコールの機運が盛り上がりにくい状況にはあるが、人口流出を防ぐことにばかり躍起になっている姿勢や、国会事故調での答弁など県民の間に不満が高まっているのも事実。要請行動に踏み切った女性たちは「もう我慢ならぬ」といった様子で、佐藤知事の対応如何では、2年後の任期満了を待たずして知事の座を追われる可能性も出てきた。


【逃げずに株主総会で脱原発明言を】

要請行動を行ったのは、「ふくしまWAWAWA-環・話・和-の会」(佐々木慶子代表)、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(佐藤幸子代表世話人)ら4団体。急な呼びかけにもかかわらず、全国から25団体の賛同を得たという。

県知事への要求は11点。


①政府による「大飯原発の再稼働決定」に明確に反対の意思表示をすること。

②東電株主総会で「脱原発」の意思表示をすること。

③「脱原発をめざす首長会議」へ加盟すること。

④福島原発事故の徹底究明をすること。

⑤県会議員に「脱原発」活動を促し、「ふくしま宣言」へ向けて県知事・県議会の一体化の姿勢を見せること。

⑥「脱原発」実施後、県民が路頭に迷わないようなキメの細かい施政を実施すること。

⑦「廃炉」作業に関しては、労働者の被曝による健康被害の低減化に十分配慮すること。

⑧子どもの被曝を最大限避ける手立てを行うこと。

⑨廃炉に向けて科学・技術センターを設立し、教育予算の増額と人材育成をすること。

⑩全ての「ヒバクシャ県民」に「県民手帳(仮称)」を配布し、病院・研究機関の拡充を図ること。

⑪特に①と②については、遅くとも7月中に実行に移すか否かをもって、県知事としての資質・真摯さを見極める重要項目とする。


以上について、期待に応えられない場合には「知事自ら、職を辞すことを希望します」と明記した。

特に東電の株主総会に関しては、昨年は佐藤知事が議決権を行使しなかった経緯があるだけに「今年は逃げずに脱原発を明言してほしい」と求めた。
民の声新聞-要請行動①
福島の女性たちの怒りが爆発した要請行動。

佐藤知事に対し、原発再稼働への反対と脱

原発の明言を強く求めた=福島県自治会館


【「佐藤知事には気迫も気力も感じられない」】

「知事は県民の方を向いていないじゃないか」

「リコール運動を始めますよ」

対応した県職員に、厳しい言葉が浴びせられた。

政府が大飯原発の再稼働を決めても反対を明言しない佐藤知事。「福島県民は被害者だ何ら気兼ねすることはない。県民にきちんと聞こえるように反対意見を表明するべきだ」との声があがった。

ある女性は「福島はもはや、人の住む所ではない。死んだと思っている。それでも開き直って生きているんです。しかし、知事には気迫も気力も感じられない」と憤った。別の女性は「知事はどちらを向いて政治をしているのか。あと2年も任せられない」と迫った。

「放射線量が0.8μSVもあったって、子どもたちは何の規制もなく遊んでいる。安全キャンペーンの犠牲になるのは子どもたちなんですよ。知事が先頭に立って被曝回避に努めないといけない」と怒ったのは郡山市の男性。別の男性も「人として、福島県民として、まずは原発再稼働に反対するのが筋というものだろう」と詰め寄った。

原発立地地域でもあり、原発事故の直接の被害者である福島県民。それだけに、政府による大飯原発の再稼働決定は許し難いものだった。「野田首相は『福島の再生なくして日本の再生なし』と言っているが、言葉だけで実が無い。事故から何も学んでなく、福島を見捨てようとしている」と参加者の一人。だからこそ、県民の代表である県知事には政府に対し明確に反対を表明してほしいとの思いは高まる。

国会事故調での答弁は、県民の知事離れを決定づけたとも言える。

「知事自らプルサーマルを導入したのに、ピント外れの答弁。交付金も知らないような無知な知事だったのか。震災以降、佐藤知事には本当に不満が多い。あんな知事は要らないんです」
民の声新聞-要請行動②
これだけの被害を受けながら、原発再稼働や

脱原発を明確に打ち出せない県知事や福島市

議会。県民の怒りは大きい


【無記名投票で再稼働反対決議を否決した福島市議会】

県知事への要請後、参加者らは福島市議会へ移動し、渡辺敏彦副議長(真政会)と面会。22日の市議会で「関西電力大飯原発三号機と四号機の再稼動に反対する決議」が反対多数で否決(賛成17、反対19)されたことに対し、「黙ってはいられない」と抗議した。

参加者らによると、渡辺副議長は、採決は無記名投票で行われたことを明かし「議会運営委員会で決めたことなので、名前を明かすわけにはいかない。9月議会で再び議案が提出されれば、真摯に対応する」と話したという。

これに対し、福島市在住の佐々木慶子さん(69=ふくしまWAWAWA-環・話・和-の会代表)は、記者会見で「議員として採決に責任を持ちたくないということだろう。放射能汚染は回復できないんです。失ってからでは遅いんです。除染の費用対効果も疑問が残ります。福島原発事故の解明も進まないなかでの原発再稼働決定なのに、県都である福島市議会は県民の想いや苦しみを無視している」と怒りを露わにした。今後、反対議員の名前を突き止め、2015年にも行われる市議選で落選運動を展開する意向だ。

課題もある。

要請行動に参加した一人は「被曝の不安を抱える中、多くの人々が避難生活を送っており、県民は日々の生活で精一杯。リコール運動~知事選という流れが出来上がるか心配な点ではある。また、リコールが成立した場合、誰を候補者として立てるのか。考えなければならないことは少なくない」と話した。昨年からリコール運動を始めようと言う声が上がっては消えたという。これについて、佐々木さんは「確かに、佐藤知事への不満を抱える人は多いが、それが実際の行動につながるかというと難しいところはあると思う」。しかし「次の知事選までまだ2年もあるんです。今回の私たちの行動が結果としてリコールにならないとしても、佐藤知事の言動に関する事実を次々と公表して『これで良いの?』と問い続けたい。最初からリコールという言葉を使わなかったのはせめてもの温情です。お疲れのようだし、お辞めになったらどうか。全国が注視しているんです」とも話した。
民の声新聞-要請行動③
記者会見した佐々木慶子さん。

「自らお辞めになったらどうか、というのは

私たちのせめてもの温情」=県庁記者クラブ

(了)