竜帝の伝説《小説》1話 | 緋紗奈のブログ

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このブログではモンハンやデジモン
日常で起こったことを自由気ままに
マイペースで描いています

小説では1話なので1話とさせていただきます

以前質問があったのでここに書かせていただきますが
本来人間もデジタルワールドへ来るとデータ情報へ変換されます
が、エターナルストームが起こるとデジタルワールドと人間界の時空が酷く歪んだ状態となり、その時嵐に流されデジタルワールドへ来た人間を含む人間界の生き物は上手くデータに変換されずに死んでもデータ分解が起こらないという異常な事態になるのです。数日経過すれば時空の歪みはなくなるのでデータ情報へ変換されますが、そのままにしておくのはあまりにも良くないので死んだ者は火葬するという決まりになったということです。

こんな説明で大丈夫・・・かな?
ついでにもう一つ・・・・

今回の話のイラストはアルフォースに爪があるのを
まだ知らないときに描いたものなので爪を描いてませんw
(言っちゃうと少し前の漫画になります)

と、言うわけでスタート!



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デジモン小説1

デジモン小説2

デジモン小説3



アキリと名付けられた人間の赤ん坊は
皆の心配をよそにすくすくと成長していた
人間をあんな幼いうちから育てた記録などなく
ほぼ手探り状態だったのであまり長生きが出来ないのでは?
と言う者までいたことなど何処吹く風というほど元気そのもの

”ロイヤルナイツ”に育てられていたので
”ロイヤルナイツ”にとてもよく懐いていた
特に積極的に世話をしてアルフォースブイドラモンには特別だった

「あれだけ馬鹿してたのにな~くだらねぇとか言ってさ」
「・・・もう忘れてくれよ」

総司令官であるスレイプモンが笑いながらアルフォースブイドラモンに声を掛ける
それに恥ずかしいような困り果てたような感じで答えるアルフォースブイドラモン

「アルフォース様そんなこと言ってたんですか?」
「む、昔な昔。何も知らなかった頃の話しだよ」
「・・・お前アキリにアルフォースと呼ばせているのか?」

ガンクゥモンが尋ねると少し前に名前が長くて
呼びづらいとアキリに言われたことを話した

「確かにアルフォースのようが呼びやすいな
じゃあ俺達も今後お前のことそう呼ぶことにしよう!」

スレイプモンが「アルフォースちゃ・・・」と言い切る前に
音よりも速い速度で何かがスレイプモンの顔に当たった
物凄い音がアキリの耳に届く

「今の音は何ですか?」
「何でもない、行くぞアキリ」

アルフォースとアキリが部屋を立ち去ると
後ろのほうでスレイプモンが壁に見事にめり込んでいた



この日の白帝城にはとても心地の良い風が吹く
非番のアルフォースが暇な時間を城を歩きながら過ごしていた
中庭を通りかかるとアキリが何かをしているのを見つけた

アキリは毎日のように中庭に通っているのでそれはいつもの光景

「またここにいたのかアキリ」

アルフォースがいつものようにアキリの元へ歩む
それに気付いたアキリもアルフォースへ歩み寄る

「お前本当にここが好きだな、・・・この花が好きなのか?」
「はい、大好きです!」

中庭には小さいが綺麗な空色の花を咲かせる植物が育っていた
元々中庭に自生していた植物でアキリがここで遊んでいるときに見つけ
その花をとても気に入り、独学でその花を育てていた

そのお陰で随分増え、今は中庭の一角を埋め尽くすほどになっていた

「僕が大人になる前にここの庭一杯にこの花咲かせて見せます
絶対に綺麗ですので、アルフォース様もぜひ見て下さい」
「ああ、いいぜ。しかし何でまたこの花が好きなんだ?」
「だって、この花アルフォース様が纏っている鎧と同じ色ですから」
「あ・・・ああ、そうか・・・そっか」

それを聞いて思わず照れるような表情をしたアルフォース
アキリと会う前ではまず考えられないほど表情も豊かになっていた

普段でもそうだが、アキリと接しているときが一番そうだった
アキリもアルフォースと一緒にいるときが一番幸せそうであった

誰がどう見ても本当の親子であるような関係になっていた

しかしそれが今別の問題に発展していた
勿論アルフォースはそれを自覚していたのだが、
自分ではもうどうしようもないものになっていた


「あいつ自分の立場分かってるのかよ。いつ罰が下ってもおかしくないのに」

円卓会議室にアルフォースを除く”ロイヤルナイツ”が集まり
話し合いを始めた。無論アルフォースのことについてだ
スレイプモンはかなり不機嫌そうな顔で机に肘を付けている

「確かに我々は愛情を持ってはならない・・・しかし彼の場合
そのお陰であそこまで優しい心を持つことが出来たのです
せめてアキリが天寿を全うするまでは・・・・」
「ダメだ!例外を作るわけにはいなかない」
「普段はああなのに・・・掟についてはやたら厳しいよなお前は・・・」

”ロイヤルナイツ”の掟の中に
【愛情を持って他者と接してはならない】というものがある
アルフォースはそれに反していた
誰から見てもアキリを愛していると分かるほどに・・・

そしてスレイプモンは普段のあの性格とは相反するほど
掟に対し非常に厳しいことで有名だった

今すぐに罰を与えるべきだと言うスレイプモンに対し
なんとか阻止しようと他の”ロイヤルナイツ”は必死だった

「それよりもスレイプモンの性格をなんとかするべきだと思います」
「それは同感だね」
「お前ら・・・・・仕方ない、反対が多いしひとまず先延ばしにしてやる
しかしイグドラシルの命に逆らったり少しでも任務に支障をきたすような
ことがあったら俺の独断専行でやるからそのつもりでいろよ・・・」

怒りを秘めた様子で席を離れるスレイプモンに一先ず安堵の息を吐く一同
一度スレイプモンがこうなると制止しするのが難しい
本気で戦うことになったとしたら誰もスレイプモンに敵わない

「掟に反しているのは事実ですが、なんとか罰だけは
軽いものに出来たら・・・せっかくあそこまで変われたのに」

オメガモンが落ち込んだ感じでうなだれた
ガンクゥモンもマグナモン、ロードナイトモンも
阻止したいという気持ちはあれど半ば恐怖政治のような状況に
どうすることも出来ずにいるのが現実であった



それからすぐのことだった


いずれ”ロイヤルナイツ”の補佐をすることを夢見て
アキリは毎日のように勉学に励んでいた

アキリは自分がデジモンではない別の種族だと
知っていたが、戦わないことなら手伝うことが出来ると
一日の半分ほどこれも独学で勉強をしていた

いつものように読み物に集中していると
突然何かがしたたり落ちた

「・・・・?あれ・・・僕どこかにぶつけたっけ?」

別にどこかぶつけた覚えなどないのに
アキリは鼻から出血していた
いそいで何か拭くものを探そうと立ち上がった瞬間
目の前が歪みヒドいめまいに襲われた

「ア・・・ルフォー・・・・ス様」

そのままアキリは卒倒し意識を失ってしまった




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