「映画製作は駅馬車の旅に似ている。
期待が消え、結局は目的地に着くことだけになる。」
「映画監督とは、あらゆる質問を浴びる人種である。」
…byフェラン監督(フランソワ・トリュフォー)
in『映画に愛を込めて アメリカの夜』
フランソワ・トリュフォー監督/1973年/フランス
去年の夏の終わり、
憧れの地・パリへ初めて足を踏み入れました
モンマルトル墓地に眠っているトリュフォー監督のところへも、
お参りに行きました。
なんとも感慨深い思い出です
(あ、墓地は明るいしキレイだし、おすすめ散歩スポットです。
ゾラ、ジーン・セバーグ、ゲンズブール、エディット・ピアフ…
いろんな大物が眠っていらっしゃいます。)
トリュフォー監督の映画はなんでこんなに面白いんでしょう
映画作りの映画です。
監督役は、トリュフォー自身。
主演はアルフォンス(ジャン=ピエール・レオー) と
ジュリー(ジャクリーヌ・ビセット)。
妊娠しちゃう者、フランス語がよく分からない者、
失恋する者、スランプにおちいる者、事故に遭う者…
撮影が進んでいくのですが、人間関係もいろんな事態になります。
日本語タイトルにもあるとおり、映画への愛が。
あふれまくっております
もうね。。ちゃくちゃくと撮影が進んでいくところを
セリフなしでつないでいくシーンは、
あまりの幸福感と愛に、泣きます。
映画へのオマージュもたくさん。
フェラン監督が取り寄せた文献は
ホークス、ベルイマン、ブニュエル、ロッセリーニ、そして、
なんと、ゴダールについての本も!
あと、ジャン・ヴィゴ通りとかでてきます。
私もパリで、偶然フランソワ・トリュフォー通り見つけたなぁ
しかもシネマテーク・フランセーズに行こうとして、
迷子になってる最中に。
映画撮影の裏、みたいなところも、もちろん面白いです。
ちょっと手の内を見てしまったような。
そもそも、「アメリカの夜」というのは
昼に特殊なフィルターを使って撮影をして、
夜みたいに見せる技法のことをいうらしいです。
技法についてはまったくわかってないのですが。
だからこの映画も、
いかに本当らしく見せるかの工夫が満載。
ちなみにトリュフォー自身が他の映画でした工夫や苦労も、
いっぱい出てきます。
暖炉の火はガスで調整する。
ロウソクには電気がうめこまれてる。
ネコちゃんは思うように動いてくれない。
誰かが言ってたことをそのままセリフにしちゃう、っていうのは
彼の常套手段だったみたいですね
この映画でのジャン=ピエール・レオーは、なんか面白い役回りです。
父のような、兄のようなトリュフォーと、
いつまでも子供っぽいレオーさん。
これが実際の彼らの人間関係にも近いのかなと思いました。
あと女優陣が素晴らしいです~
ジャクリーン・ビセットはもちろん、ナタリー・バイさん。
この人、良い
監督の片腕ともいえるスクリプト・ガールの役で、
すごく敏腕なんですね。見るからに。
でっかいメガネかけて。
でもなんかすごくハンサムというか、
ふだんは「男より映画よ」とか言ってるくせに、
イザとなるといまでいう草食系男子?みたいな人に
「吠えてばかりいないで、噛みついてよ」
とか言ってました。かっこいい。一度くらい言ってみたい。
最初っから最後までずっと、
いきいきした幸せ・愛にあふれた映画です。
なんか、ヘンな言い方になるけれど、異常な愛情なんです。
トリュフォーたちの。
映画好きにはたまらないです
こんなに温かい「映画についての映画」をとれる人は
少なくともヌーヴェル・ヴァーグの5人衆のなかにはいません。
滅多にいません
今年も、頑張って働いて、パリに…
行けるといいなぁ…。