10) 竹と炭の家 | BIG BLUE SKY -around the world-

10) 竹と炭の家

10) 竹と炭の家  Banboo and Charcoal

Erika の叔父の家は、母と義父の家から北に路地二本行ったところに在る。
従妹の友人のバイクに乗って叔父の家に着くと、竹林に Erika の笑い声が響いていた。
コンクリート製のテーブルに着いて、従弟妹と Erika はシンハー・ビールを飲んで談笑している。
そのすぐ横では、精悍な男性が竹を割って、菜箸ほどの竹棒を作っている。
私の叔父と、従弟妹です。
胸の前で手を合わせて挨拶をする。

皆と一緒にテーブルに着くと、竹林が風に騒めき、叔父さんが鉈で竹を割る音が響く。
母屋横の炊事場に炭の煙が上がり、鶏の一家が横切って行く。
腰の後ろに手を組んで、ゆっくりと歩いて来た叔母さんは、叔父さんより十歳は年上に見える。
叔父さんはお母さんの弟で、子供を連れた叔母さんと結婚しました。
いとこたちは、叔父さんの子供ではありません。
穏やかに暮らす一家にも、義父と母の連れ子との物語が有ることが分かる。


BIG BLUE SKY -around the world--1001_竹細工
[竹を割る叔父さん,ヤソートーン] (2012)


ここヤソートーンの竹は、日本の竹とは異なっている。
何本もの竹が密集して生えており、上に行くに従って一本一本の間隔は放射状に広がって行く。
日本とは竹が違うね。
筍も違います、有ったら教えますね。
筍の季節はいつだろうかと思い、家の周りを歩いて筍を探す。

竹と炭の家を眺めると、高野山に近い紀伊国の九度山に居るような気がする。
関ヶ原後の真田昌幸・幸村親子の蟄居を想うと、軒先に揺れる布地の模様が六文銭に見えて、鍬を持ち籠を背負った真田幸村が路地を曲がって来る姿が目に浮かぶ。
猿飛佐助、高野小天狗、三好清海、霧隠才蔵、呉羽自然坊、為三、筧十蔵、真田大助、穴山小介.....
少年期に見た TV 人形劇 の真田十勇士を、指を折って一人二人と数えるが、十人目がどうしても思い出せない。

叔父さんが竹を割る姿を眺めてしばし考え、竹を割る鉈を見て鎖鎌の由利鎌之助だったと思い出し、人形劇で聴いた草笛のメロディーを口笛で吹く。
真田十勇士のメロディーが時空を超えてヤソートーンに響くと、従弟妹が私の方を見て微笑んだ。


⇒§11) 竹の縁台で歓迎の宴


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