11) アユタヤの知己からの助言
11) アユタヤの知己からの助言 Advice from an Acquaintance
二年振りに会った NK は、笑顔と握手で迎えてくれた。相変わらず、彼女の足元には猫たちがまとわり付いている。
互いの近況,アユタヤに来る前に行ったチェンラーイでの出来事,二年前に聞いた夜明けの不思議な声,三年前に行ったレストランのお兄さん ... 話題は尽きない。あっという間に一時間が過ぎていた。
友人との再会を楽しむとは、こういうことだと思う。Erika とも、このように語り合えれば良かったと思う。
[三年前の夕食] (2007)
「何か心配が有りませんか?」
NK は、私の様子から何かを察したようだ。
私は、日本で知り合った Erika との二年振りの再会と、Erika の様子について説明する。NK は、いつものように真摯な表情で説明を聞いて、そのお姉さんはあなたの言う通りなのでしょうと頷いた。
躁はタイ語で何と言うのかを英タイ辞典で調べて貰ったが、manic も manic depression も bipolar disorder も載っていなかった。辞書の語彙数が少ないのか、タイ語に対応する語彙が無いのかは分からない。
「私も一緒に晩ご飯に行きましょうか?」
それはありがたい提案だと思ったが、今日の Erika の暴走ぶりを考えると、NK と会わせるのは考えものだ。彼女の気持ちに礼を言って、今日は私一人で対応すると説明した。
「困ったら、何時でも電話して下さい」
私は NK に重ねて礼を言うと、赤いソンテオに乗って Erika の待つ路地へと向かった。
助言らしい助言が有ったわけではないが、気分はだいぶ楽になっていた。
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