06) 路地に張り巡らした網
06) 路地に張り巡らした網 Web of Intrigue over the Area
ソイ (路地) の角の食堂から見ていた若い女性は、Erika の友人だった。私の特徴を説明して、見かけたら連絡するように頼んでいたのだった。彼女は思い通りに事が運んだからなのか、とても満足そうに見える。
その姿を見て、Erika が横浜にいた頃を思い出した。不思議と関内周辺にいると電話がかかって来る。有隣堂,喫茶金馬車,會星楼 ... どこかで見ているかのように電話がかかって来る。そして店にやって来た私を見ると、満足そうな表情を見せた。今日のようなことが有ると、彼女は関内周辺にも網を張り巡らしていて、私はその網に絡め捕られていたように思える。
[アユタヤ郊外] (2008)
「ワットへ行きましょう」
信仰の篤い Erika の提案で、アユタヤ島内のワット (寺院) へ行くことにする。短パンではワットへ入れないので、彼女が着替えて戻って来るのを暫し待つ。
50代くらいの軽装の男性と一緒にソファに座ってテレビを見ていると、確かベトナムのホーチミンでも同じようにディスカバリー・チャンネルを眺めたことを思い出し、脈絡のない連想が続いて行く。
「お待たせしました」
観念奔逸が感染したかのような脈絡のない連想を遮ったのは、白いシャツとピンクのロング・パンツに着替えて戻って来た Erika だった。私たちは表通りまで歩いてソンテオに乗り、アユタヤ島内へと向かった。
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