ハプスブルグ展について その① 王家の肖像画編

の続編になります。


ハプスブルグ展の模様の続編。今回はイタリア、ドイツ、

ネーデルランドの絵画編です。
ハプスブルグ家がスペインとオーストリアの王家の地位を
保持していた

16~18世紀の初頭までの間、その領域は広大なものでした。

特にスペインの方が「日の沈むことのない」と形容される超大国で、

その領域はヨーロッパではフランドル地方(現在のオランダ・ベルギー等)、

イタリアの南部、一時的にですがポルトガルの王家も兼ねた時代も
ありました。その上に新大陸(アメリカ大陸)の広大な領地もあり、

それにオーストリアの領域も加わるのですからその広さは

想像を超えるものがあります。


それだけ領域が広範囲にわたったこともあり、

当時の王室美術コレクションには多種多彩な地域の

芸術家の作品が集まっています。その中の一部をご紹介します。

Vamosの徒然な日々

ラファエロ・サンティ「若い男の肖像」


まずはルネッサンスの巨匠の一人イタリアのラファエロ。

彼は30半ばという若さで他界していますが、

非常に多作であったようで多くの作品が現存しています。

この絵は以前は画家の自画像と思われていたようですが、
クララ・ガラスという人は枢機卿ピエトロ・ベンボが描かれていると
主張し、両者とも決め手はないため、若い男の肖像という

曖昧なタイトルとなっているらしいです。


Vamosの徒然な日々

ジョルジョーネ「矢を持った少年」


イタリアの画家ジョルジョーネの作品。

なんとも形容しがたい眼差しで鑑賞者を見つめる

この少年については、古来いろんな解釈がなされてきたそうです。
矢を持っていることから、この少年の正体は

ギリシャ神話のアポロン神、愛の神エロス(キューピット)、
トロヤ戦争の原因を作ったトロイア王の息子パリス、等々です。
それだけいろんな解釈や論争がなされてきたというこの作品。

言葉には表しがたい印象を受けました。

Vamosの徒然な日々

アルブレヒト・デュラー「若いヴェネツィア女性の肖像」


勉強不足でデュラーについて詳しくは知りませんが、

16世紀前半頃に活躍したドイツを代表する画家のようです。

この作品は彼がヴェネツィアに到着した直後の

1505年に描かれたことが分かっています。
当時ヨーロッパにおける芸術の中心地はイタリアで、

他国の画家でパトロン等の支援を受けられた者の多くが

イタリアへ勉強しに行っていたようです。

デュラーもそういった画家の一人だったのでしょう。


モデルの若い女性は、16世紀初頭にヴェネツィアで流行った

服装をしていて、髪型も後ろでまとめてネットで固定するという

当時のスタンダードなものであったようです。

このモデルの女性については不詳ですが、人物把握が

徹底していて鑑賞者に強く訴えるものがあるところから、

画家と個人的に親しい関係にあったことが想像されます。

そんな結論の出ない問いをあれこれ繰り返してみるのも、

この手の絵画を鑑賞する際にはいいですね。

Vamosの徒然な日々

ルーカス・クラナッハ(父)「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」


コケティッシュというかなんというか、非常に個性的でクールな女性の
姿を描いた絵を多く残しているドイツの画家クラナッハ。
彼の描く女性像は小悪魔的でミステリアスで、この世のものであるのか
でさえよく分からなくなるものがあります。
この絵のサロメもまたそうでして、その冷笑浮かぶ顔と聖ヨハネの
無念そうな顔の対比がなんともいえない思いを抱かせます。


この絵は『「サロメ」というヘロデ王の継娘が、「ヨハネ」と対立していた

自らの母の言葉に従い、王の前で舞を舞った際の褒美として

ヨハネの首を所望した』という、旧約聖書に出てくる話が

モチーフになっています。

中世ヨーロッパの絵画は聖書やギリシャ、ローマの神話

(ドイツ等の北欧では北欧神話)を主題にした絵が多いので、

それらの知識があるとないとでは作品に対する理解度が

大きく変わってきます。ダイジェスト的なものでよいので、

ヨーロッパの絵画に興味があるなら、それらについて書かれた本を
一度読んでおくことをお勧めします。



Vamosの徒然な日々

レンブラント・ファン・レイン

(読書する画家の息子ティトゥス・ファン・レイン)


17世紀のオランダで活躍した画家レンブラント。

彼には愛妻サスキアとの間に数人の子がありましたが、

無事成人できたのはこの絵のモデルである「ティトゥス」
だけであったそうで、彼をモデルにした作品を多数残しているそうです。
この絵も「息子の成長を見守る父」という、暖かな視線が

感じられるように思えます。現在の私達はカメラがあれば

簡単に子供の成長記録を残せますが、そんな機械の無かった

当時では、そんなことが出来ようはずがありません。
もしかしたらレンブラントは、子供の成長記録を残すような気持ちで

この絵を描いたのかもしれませんね。


以上独断と偏見で5点に絞ってご紹介しました。

次回はスペイン絵画編です。お楽しみに。



ハプスブルグ展 その③スペイン絵画編  に続きます



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