ダンサー・イン・ザ・ダーク

予告




情報 Wikiから抜粋
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(原題:Dancer in the Dark)は、ラース・フォン・トリアー監督、ビョーク主演の、2000年製作のデンマーク映画。

『奇跡の海』と『イディオッツ』に次ぐ「黄金の心」3部作の3作目とされる。

アイスランドの人気女性歌手ビョークを主役に据え、手持ち主体のカメラワークやジャンプカットの多用によるスピーディーな画面展開、不遇な主人公の空想のシーンを明るい色調のミュージカル仕立てにした新奇な構成の作品である。

高い評価を得て、2000年の第53回カンヌ国際映画祭では最高賞であるパルム・ドールを受賞し、ビョークは映画主演2作目で主演女優賞を獲得した。

音楽もビョークが担当し、特にトム・ヨーク(レディオヘッド)とデュエットした主題歌『I've seen it all』はゴールデングローブ賞およびアカデミー賞の歌曲部門にノミネートされるなど高く評価された。




登場人物




セルマ  ビョーク
目が悪くなっていく運命にある主人公。
息子がいるが、その息子も同じく次第に目が悪くなり、いつか完全に盲目となる運命。

キャシー(クヴァルダ)  カトリーナ・ドヌーヴ
セルマの親友。
心優しい彼女は何かとセルマに助太刀する。

ビル  デヴィッド・モース
セルマに住居を与え、彼女が仕事中は息子の面倒をみてくれるいい人。
警官。

ジェフ  ピーター・ストーメア
セルマに好意を抱いている男性。
いつも迎えにきてくれる。

ノーマン  ジャン=マルク・バール
セルマの働く工場の主任。

ジーン  ヴラディカ・コスティック
セルマの息子。
彼女と同じく盲目になる運命だが、彼はまだ知らない。

リンダ  カーラ・シーモア
ビルの妻。
ビルと同じくセルマにやさしく接してくれる。


あらすじ
生まれてからいつか盲目になる病に侵されていたセルマは、息子がおり、息子もまた同じ運命にあった。

彼女は息子ジーンを救い出すべく、工場での仕事に勤しむ日々。

こつこつ貯めた2056ドルと10セント。

住居を提供して貰ったビルへ、息子の為にこつこつ貯金をしていることを話してしまうセルマ。

彼女の歯車が大きく狂いだす━。





感想※ネタバレ注意



ミュージカルの練習をしている、セルマという名の女。



息子のジーンとの関係がうまくいってない様子。



穏やかな日々を過ごす彼女とその仲間たち。



ある日ビルがやってきて、「妻に内緒で無一文になった、自殺しようかと考えている」、とセルマに相談した。

セルマはビルを思いやり、誰にも打ち明けた事のなかったヒミツをビルへ打ち明ける。




彼女は失明する運命にあった。



遺伝性でジーンも同じ病気。



彼女はジーンの為に働き、内職し、手術費を貯めている。



彼女は目が悪くなる一方で、仕事でもミスをし始める。


孤独なセルマ、息子の為に働き続ける。






セルマの唯一の趣味はミュージカルのようだ。





セルマは夜勤を始めるも、うまくいかない。



同じ工場で働く親友の(キャシー)クヴァルダが看るに見兼ねて、手伝いにきてくれた。






ここで最初のミュージカルシーン。





踊る従業員、音楽を奏でる機械。





彼女は再びミス犯してしまった。





帰るとビルが家に。



また相談だ。

セルマへ「リンダにこの事を打ち明けようと考えてる。」と、ビル。




相談が終わる。

だが、ビルはセルマの目が見えないことに漬け込み、ビルはセルマの家から出たふりをし、彼女の貯め込んでいるお金の在り処を見つけた。





ミュージカルの練習に参加するも、目が見えない彼女は引け目を感じ、マリア役を降りると相談。




セルマの唯一の生き甲斐はミュージカル!





なのにどうして…。


夜勤で大きな失敗をしてしまった。






仕事中呼び出される。







彼女はクビに。







クヴァルダは「あんまりだわ!」と工場内で虚しく叫ぶ。



泣けてくる。






それでも明るく気丈に振る舞うセルマ—。







彼女の『ミュージカル』がまた始まる。



悲しいもう何も見るものはないという歌。





帰宅したセルマ



貯めていたお金がない…。





ビルが盗んだ。






ビルを尋ねに離れの家へ。



ビルは嫁にセルマがビルを誘惑したと、吹き込んでいた。





酷すぎる—。







返して欲しいとセルマ。





ビルは一ヶ月後に返すと言う。




お金を奪い返したセルマ。





ビルはセルマへ銃を向けた。




ビル「今君の背に銃を向けている。」



セルマが金を盗んだかのような言い回しでリンダにそう告げるビル。




妻のリンダに農場へ警察を呼ぶようけしかける。




セルマに脅されたようにわざと自分を撃たせるビル。




そしてセルマは引き金を引いた。







哀しげな曲が流れ、ミュージカルが始まる。







セルマがとてもとても惨めで、自然と涙が流れてくる—。







迎えに来たジョンの車でバス停まできた。



湖で殺人の証拠を処分。





病院へ行き、手術費を先生へ渡す。




愛する息子ジーンの為に貯めた2056ドルと10セント。




ミュージカルの練習に来たが、通報されてしまった。









ミュージカルシーンへ。









なぜこんなにもセルマはミュージカルが、好きなのか—。









捕まった彼女。









場面は変わり、裁判。





検察側は彼女を冷酷無比で計画的で障害を隠れ蓑(みの)にし犯行に及んだと検事に訴える。





セルマの言う真実は、信じて貰えるはずもない。




手術費を医師に渡した事を、なんとしても隠したい彼女は、チェコの父(オルドリッチ・ノヴィ)へ仕送りしたと証言する。



オルドリッチはもちろん架空の人物。




いないはずのオルドリッチ・ノヴィ。

だが、同姓同名の証人が呼ばれた。




ノヴィはチェコではミュージカルでちょっとした有名人。





手術費用を出した人の領収書をノヴィの名前で発行してもらっていた。






ここでミュージカルが始まる。





ノヴィと共演、タップダンスで表現。



あなたはいつも受け止めてくれるというフレーズが繰り返される。













判決が言い渡された。










ダンサー・イン・ザ・ダーク



セルマは闇に落ちた。



だが彼女は失明という闇から息子を守った…のだろうか。









面会に来たキャシーが、新たな証拠が見つかったとセルマに伝える。






ジェフは病院へ行き、セルマがそうした理由を見つけ出した。







再審請求をすることが出来れば、死刑は免れる。







だが、セルマはジーンに伝えないでくれと言う。






心配すると手術に影響が出るかもしれないと。









1人の女性看守と親しくなる。

彼女もまた息子をもっていた。

こんなに気の優しいセルマが本当に人を残忍な手法で殺したのか疑問に思っているかのような表情。




静かな音のない独房でのミュージカルシーン。



泣きながら換気扇の方へと向き、歌うセルマ。





独房で一人歌うセルマ。







刑は延期された。









新しい弁護士ルーク。





ルークは公選弁護士ではなく、工面出来る金額で雇われたらしい。







そのお金は2056ドルと10セント—。
















キャシーとセルマが面会し口論。









キャシーはセルマを助けたい。



セルマは息子を助けたい。











ジェフと面会。






ジェフ「遺伝するとわかっていて、なぜジーンを産んだのか。」


セルマ「赤ちゃんを抱きたかったからよ」




涙がとまらない辛いシーン。


















その時がやってきた…。









冷たい部屋。



靴音ひとつがとても恐ろしく感じる。









親しくしてくれた看守がミュージカルが好きなセルマの為に、足音を立てながら、進ませていく。





ミュージカル風に、絞首刑場へ107歩、カウントされる。













怖い











怖いわ









息がつまる









ジーン!







ジーン!







ジーン!







ジーン!!







ジーン!!







見兼ねたキャシー(クヴァルダ)がセルマの元へかけより、手術は成功したかのような事を伝え、セルマへジーンの物と思われる眼鏡渡す。






落ち着きを取り戻し、歌い出すセルマ










これは最後の歌ではないわ










最後から2番目の歌よ






ママのいいつけを守るのよ



ちゃんとなさい



ベッドも治すのよ








これは最後の歌じゃない





私たちがそうしない限り










ヒューマンドラマかと思いきや、愛と欲望渦巻く衝撃の問題作だと終わってから知った。

とにかく泣いてばかりだったので、細かい描写を観れなかった。

好きな人、嫌いな人必ず別れるタイプの作品であるといえる。

セルマの刑が執行される前、キャシーがセルマへかけより、眼鏡を渡すシーン。

素直に受け取れば、彼女は救われて安心して逝ったように受け取れるが、そう受け取った人は素直過ぎると思う。

なぜならこの作品を通して、人を疑い、欲望に飲まれた人間たちをみてきたのに、なぜそう素直に受け取れるのか私には理解出来ないからだ。


あの眼鏡は本当にジーンの眼鏡だったのだろうか。

手術したのは本当なのだろうか。


セルマには私も救われて欲しいと思う。

ただ、上記で述べた通り、この作品に出てくる人間たちは欲望と金に塗れている。

そんな作風でありながら、最後だからという点だけで、セルマは救われたと考えるのどうなのだろうか。


そもそも映画には正解などなく、嗜め(たしなめ)れば、個人の感想などどうでもいいのだが、この作品に関しては恐らくこういった議論が沢山交わされたのではと推測する。



胸が苦しく、こんなに泣けたのは久しぶりだった。

ビョークの歌と演技の使い分けの幅広さは素晴らしい。

映画の見方を考えさせられた私にとっては、とても素晴らしい作品だった。



ただ、何度もいうが、観る者を選ぶ作品なので、複数人で観る人は要注意。

観てよかった!

10/10