チェンジリング
Wikiより抜粋
チェンジリング
2008年のアメリカ映画。クリント・イーストウッドアンジェリーナ・ジョリー を主演に迎え、1920年代のロサンゼルスで実際に発生したゴードン・ノースコット事件 の被害者家族の実話を元に映画化された。なお、題名は「取り替え子」という、自分の子供が醜い子供に取り替えられるというヨーロッパの伝承に基づく。

第61回カンヌ国際映画祭 出品。第81回アカデミー賞 主演女優賞、撮影賞、美術賞ノミネート。


主要人物

クリスティン・コリンズアンジェリーナ・ジョリー
本作品の主人公。息子のウォルターと共に暮らすシングルマザーで電話会社に勤めている。

グスタヴ・ブリーグレブ牧師 ジョン・マルコヴィッチ
コリンズ夫人の唯一の味方。汚職や不正と戦う牧師

J.J.ジョーンズ警部 ジェフリー・ドノヴァン
コリンズ夫人を徹底的に拒絶し、不当に精神病棟へ送り込んだ張本人。

ゴードン・ノースコット ジェイソン・バトラー・ハーナー
ゴードン・ノースコット事件 の主犯。


あらすじ


ある日突然消えた息子の捜索を警察へ依頼し、5か月後『息子』が見つかった。

だが、帰ってきたのは全くの別人だった。

悪夢の始まりである。

自分の息子ではないと主張するも、汚職にまみれた警察はコリンズを煙たがり、精神病棟へ隔離されてしまう。






感想※ネタバレ注意






捜索を依頼して5か月後、息子が見つかったという知らせを聞いた時のアンジェリーナ・ジョリー の演技力は、衝撃的。

彼女の作品はあまり興味がなかったが、他の作品もみてみたくなるような、それは一瞬で引き込まれる名演技だった。

続けて違う息子を見た瞬間の動揺し、絶句する演技で視聴者は虜になったのではなかろうか。

家に帰り、紛れもない事実(身長や割礼、歯の隙間)を確認してからの混乱。

訴えても訴えても煙たがるジョーンズ警部の傲慢さと不当な精神病棟への隔離。

内部の医者も看護婦も全員グルで、権力を持つ人間は全く宛にならず、絶望へと突き進んでいくコリンズ夫人。

この時点で私は、堕落とは人間を罪深くするという事が一つのテーマなのではないかと感じた。

それでもめげず権力と向き合い、息子を探し出したいという強い信念の元、闘い続けるコリンズ夫人。

母の愛は何よりも強い。

物語は急展開を迎え、不法滞在で逮捕された少年がおぞましい事件(ゴードン・ノースコット事件 )を告白する。

それは1人の共謀な男が20人近くの子供を殺すという事件だった。

ウォルターも被害者のうちの1人のようだ。

少年の告白と同時に次から次へと警察の汚職と不正が暴かれ、コリンズ夫人も精神病棟から帰宅を許可される。

事件の首謀者ゴードン・ノースコットが捕まり、裁判が始まると同時に警察の審問会も開かれた。

警察はジョーンズ警部を警察としての仕事を恒久的に禁止。

ジェームズ・E・デーヴィス市警本部長は解任と、審問会で大きな勝利をつかみ取る。

一方ゴードンの裁判は、独房へ2年間の監禁、その後速やかに絞首刑に処すという判決だった。

コリンズ夫人は手がかりがなくなり、次期ゴードンの絞首刑が実行される日が近づいていたある日に、ゴードンから1つの電報を受け取る。

『来てくれれば真実を話す。』と。

コリンズ夫人は史上初めて、絞首刑前日、処される囚人と会う事となった。

だがしかし、ゴードンは面会しても、自分を守る事のみに従事し、コリンズ夫人には何も話さなかった。

次の日、恐怖に慄きながら絞首刑に処され、風前の灯火だった希望が完全に消える事となる。




それから更に5年後の1935年、ゴードンに捕まっていた少年の1人デイヴィッドがなんと姿を現し、保護された。

細かい部分は省くが、数名で脱走し、ウォルターのおかげでデイヴィッドは生きる事が出来たという。

また彼女に1つの希望が宿り、生きる糧とし映画はここで終わる。




コリンズ夫人は生涯ウォルターを探してその一生を終えたという。



こんな恐ろしい内容がノンフィクションだと考えるだけでゾッとする。

また、コリンズ夫人は真の母親であり、救われて欲しかった。

コリンズ夫人は最期まで報われず、後味が悪い映画だと評する人もいるだろうが、私としては、ここまで愛されていたという描写やアンジェリーナ・ジョリーの演技力のおかげでそうは思わなかった。

最期デイヴィッドが帰ってきてくれたおかげで、コリンズ夫人にかすかな希望が宿り、そこからまた力強く生きていったであろう彼女に賛辞を送りたい。

重ねて、最期のデイヴィッドの『ママに会いたかった。』 『パパに会いたかった。』は反則。

ここで涙腺が一気に崩壊した。



切なく届かない愛の物語。



母親の愛情とはここまで人を駆り立てるものなのか、現代では安心安全快適な生活を送れている事に感謝したい。


10点満点中9点