全世界を市場とするスマートフォンは,ゲームのプラットフォームとしても浸透しつつある。この現状を踏まえ,「世界で勝つゲームとは何か」をテーマにしたパネルディスカッションが,CEDEC2011の3日目,9月8日に開催された。  セッションにはスマートフォンでゲームを世界展開させている各社の担当者が参加するだけでなく,世界進出を掲げるグリーの田中社長も登壇,これまでとこれからの世界市場を見据えた討論が行われた。 キーワードは「数」  簡単な自己紹介のあと,まずはグリーの田中氏にOpenFeint買収の経緯についての賳枻胜丹欷俊¥沥胜撙薕penFeintは,スマートフォン向けのサービスで,ゲームに組み込むことでほかのOpenFeintユーザーとそのゲームのスコアを競ったり,実績を見せ合ったりできるというもの。いわば「ゲームにソーシャル機能を外付けるサービス」であると思えばいいだろう。ユーザー数は7500万と世界最大級だ,ドラゴンクエスト10 RMT。  OpenFeintを買収した背景について田中氏は,「どんなに面白いゲームを作っても,ユーザーがいなければアウトだ。そして,お金をかければ人は集まるのかといえば,それも断言はできない」「現代のインターネットサービスは,ユーザーが多いことが最重要。FacebookもtwitterもeBayもそうで,例えばeBayであればあれだけの出品数があるからこそ凄いサービスになっている」と述べた。ユーザーを集めてくることこそが,問題の焦点なのだ。  そのうえで「とにかく,ユーザーが多くないと駄目。ユーザーがすでにたくさんいるサービスであれば,サービスの内容を変えていくこともできる。OpenFeintに足りないものがあれば,足りない部分を作ればいいだけのこと」「OpenFeintは,ドラクエ10 RMT,この種のサービスとしては世界最大のサービスであり,だから買収先として選択した」と語った。  また「プラットフォームをゼロから立ち上げるのはしんどい」という言葉には,グリーというプラットフォームを構築してきた田中氏ならではの説得力があった。  同時に田中氏は,「もう観念論はいらない。数字で判断すればいい」と語る。「文化の障壁や差異がどうの」という机上の理論ではなく,実際の数字をもとに,何が普及の妨げになっているかを把握すればいいし,それが可能になったというわけだ。日本のソーシャルゲームのARPU(ユーザー一人あたりの月額平均課金額)は高いことで知られているが,それは「日本独自の文化」ではなく,日本のソーシャルゲームが洗練されているためだ,と田中氏は指摘する
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