The J.P.Morgan Visa Signature | vice versa

The J.P.Morgan Visa Signature

ヨーロッパへ行ったとき、不便なことがある。それはクレジットカードの利用だ。

あちらのクレジットカードは EMV とか Smart Card とか呼ばれるICチップが装備されている。たとえば地下鉄駅で自動販売機を使って切符を買ったり、セルフのガソリンスタンドで支払いをするとき、カード背面の磁気ストライプは使えず、ICチップの読み取りだけしか対応していないことがある。昨年のブルゴーニュ旅行でも恥ずかしい思いをした。ガソリンスタンドで「あ、先生ここは僕が燃料を払わせてください。」と自分のカードを取り出したのはいいが・・・ICチップが無いから払えない。高速道路の自動料金所も同様。みんなおんぶにだっこになってしまい、肩身の狭い思いをしたのだった。
もちろん背面の磁気ストライプを読み取らせてサインという今まで通りの方法が可能な場所のほうが多い。しかしスーパーのレジの店員とか、レストランのサービスパーソンが無線POS端末でテーブルチェックをするとき、ICチップが無いカードだと手間取る。人によっては「こんなカードは使えない」と平気で言い張る。American Express にはそういう加盟店があったら通報しろと言われたが、そういう問題ではない。こちとらはさっさとお勘定を済ませたいだけなのだ。

クレジットカード大国のアメリカは年会費無料のカードがあたりまえなこともあってか、発行コストがかさむチップ搭載カードが普及していない。ぢつはアメリカでもいちど発行されたことはあった。現在はCHASEに買収された、今は亡きFirst USAのSmart VISAだ。僕も発行してもらっていたのだが、アメリカでは流行らずに発行から2年たらずでサービス終了...。
                  
さらにもうひとつ、今使っているCHASE United Mileage Plus カードには気にくわないことがある。米国外で使うと、3%の為替手数料が加算されるのだ。日本発行のカードなどはこういう手数料がSell/Buyの外貨レートに加えられて隠されているようだが、カリフォルニアではそれが違法になるために、海外で使う1回ごとに3%の手数料がステートメントに出てくる。

 これがなぜかムカつく。

なんだ、たかだか3%ぽっち、と思うでしょう?確かに10ドルの買い物をした記録の次に30セントの手数料記録が一度だけ載っていても、たぶんあんまり気にならない。ところが海外での利用ことごとくに加算されているのだ。 300ドルのお食事で9ドル、100ドルのおみやげで3ドル、といった具合にステートメントを追いかけると、1回の利用なのに、いちいち2行になった記録がこれ見よがしにズラズラ並んでいる。・・・ほ~ら、だんだんムカついてきたでしょう?


そうしたわけで、カリフォルニアへ帰ってから海外旅行専用のクレジットカード探しが始まった。

最初はCHASEへ問合わせて MP Visa にIC付きカードが無いか聞いたが、CHASEにはそんなものは無いと言われた。
代わりにRF(無線非接触)チップ搭載のカードを紹介されたが、今度は無用の長物で、やっぱり海外では役に立たない。

次に、外貨為替手数料が無料で有名なCapitalOneに目をつけた。MasterCardなので、メインのVISAともかぶらない。
しかもここんちは自分でカードフェイスのデザインができるのが面白そうだ。試しにデザインして、エミュレートしてみた。
                 
う~ん・・・ 我ながらなんてえげつないカードデザイン。こんなデザインだときっと許可出ないだろうなぁ...。
(Amex Centurion、Diners Club CarteBlanche、WorldElite MaterCard のカードフェイス思い出してください。)
それにもうひとつ、ICチップ搭載カードという条件がクリアできていないので、これではまだイマイチだ。
ということでCapitalOneは諦めて、ICチップ搭載かつ外為手数料を取られないカードがないかググりまくった。


結果的にみつけたのは、なんとCHASEのカードだった...。 The J.P.Morgan Select Visa Signature というカードだ。

見れば、最初の売り文句が: Smart chip technology for ease of use when traveling internationally.
アメリカ国外ではICチップが無いと不便だ、と感じているのは僕だけではないようだ。そこで海外へよく出かける人向けのカードを企画し、発行したのだろう。それにしてもこのカードを案内できなかったCHASEの窓口がいかに不勉強か判る。(怒)

カードフェイスがシンプルなのと、茶色いクレジットカードという珍しい色使いがちょっと気に入った。
なんといってもCHASEのロゴマークが入っていない。 J.P.Morganの文字はオサレだから許す。
年会費は初年度無料で以後は95ドル。年間3,200ドルチャージすれば外為手数料と相殺する。

ちょうど年末年始で憶え易いタイミングだし、気に入らなかったら初年度無料のうちに退会しちゃえばいい、と思った。
すでにCHASEのカードを保持しているため、さっさとオンラインで応募してしまった。CHASEからの連絡は何もない。

その翌日、CHASE Onlineへログインして自分のアカウント情報を見てみたら・・・

もう新しいアカウントが出来てるしぃ...。 こういうことだけは恐ろしく素早いよね。 > JPMorgan Chase & Co.

応募したのは30日、アカウントが開設されたのが大晦日。さすがにカードの到着は年が明けた週の後半だった。

実物は焦げ茶色で、表面にわずかなメタリック光沢がある。素材が茶色いプラスチックなので断面まで茶色い。
日本の Citi Visa Platinum は券面が黒いのに白いプラスチック素材を使っているせいで、断面が白くて興醒めする。

いっしょに届くキットはきわめてシンプル。アメリカでは Amex Platinum でさえ似たようなものだから、ほぼ予想通り。

たいていのアメリカのカードは普通郵便で届く。届くと、カードの上にステッカーかなんかが貼ってあって、そこに書かれた専用の番号へ電話して、自動音声に従ってカードを有効にする(アクティベート)処理が必要になる。・・・でも今回はなぜかステッカーが貼ってない。 キットの中をざっと見渡してもアクティベートしろ、とは書いてない。 でもカードのアクティベーションはほとんどもう習慣になっている。それをやらないとどうも不安になるので、カスタマーサービスの番号へ電話した。

呼び出し音2回で、いきなり生身の人間が出て驚いた。

「J.P.Morgan カスタマーサポートのXXXです。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「・・・ろ、ロボットが電話取ると思っていたので、ビックリしますた。」
(爆) 私、ぢつはロボットなんですよ~♪ (笑) ではカード番号の下4桁とお名前をお聞かせ願えますか?」

こんな調子だ。アクティベートの件は「お電話いただいたほうが無事にメンバーのお手元へカードが届いたのを確認できるからたいへん有り難い」のだそうだが、必ずしも必要ではないみたいだ。ここんちもプチ富裕層向けカードという位置づけを意識したようで、経験豊富で丁寧な応対のお姉さんが出てくる。CHASEサポートは無礼なババアが多いので、画期的だ。

他もそうだけど、最近の Visa Signature カードには、はとぽっぽのホログラムが付いてないんだなぁ。と思ったら・・・
                  
はとぽっぽは裏側に異動・左遷されていた。このホログラムの撮影にちょっと関わったものとしては、少し悲しい。

はとぽっぽ・・・といえば、表側の右下にある銀色のVISA ロゴマークの周囲だけ、なぜか妙な光沢感がある。
うん、これはたぶん新しいセキュリティがここらへんに仕込んであるんだろうと思って・・・
                 
ブラックライトで紫外線を当ててみたら、ほ~ら、やっぱり。
旧デザインでは、はとぽっぽが浮かび上がった。でも今はVの字に変わったんですね。ちょっとつまんないかも。

さて、特典や利点を調べなおしてみたら、このカードはなかなか僕のライフスタイルに向いているのが判った。
(注:以下に列挙する特典は2012年1月現在。筆者の個人調査なので保証は何もないよ)

 ・Security chip for using abroad 海外で使うとき、ICチップ搭載なので困らない。
 ・No fee on foreign transactions  外為手数料がかからない。
 ・Double points on travel, single point otherwise トラベル関連は1ドル2ポイント、それ以外は1ポイントゲット。

・・・と、ここまではカードを申し込む前に理解していた。
これだけだったら、United Mileage Plus Select Visa のほうがずっとお得だ。
                  
 ・UAで使えば1ドル3マイル、スーパーやガススタンドでは2マイル、それ以外は1マイル。
 ・UAでの利用は 5,000EQM (今年からはPQM) までエリート資格マイルがもらえる。
 ・毎年更新時、年会費($135、1K会員は$75)徴収のときには5,000マイルのボーナス。

特にカードでPQMがもらえることと更新時5,000マイルが美味しい。後続の Mileage Plus Explorer Visa の特典はミリオンマイラーの特典と重複しまくるので、ちっとも美味しくない。こうなると、もう MP Select Visa の特典は手放せない。それでもまだやっぱり3%の外為手数料がムカつくし、そもそもICチップが無いと利用できないのでは話にならない。
                  
ちなみにこの Mileage Plus Explorer Visa はMP上級会員特典が享受できるので、平会員の人にはオススメ。
たぶんCHASEはデザイン更新してくれないと思うから、僕のユナイテッド提携カードは旧塗装のままだろう...。

話を戻して、J.P.Morgan Visa を申し込んだ後で知ったのだが、以下のさらなる特典が予想外で、いい意味で驚いた。

 ・One-to-one transfer of points to frequent travel programs 1ポイント1マイルの変換が可能。
   J.P.Morgan Ultimate Rewards というポイントプログラムに貯まったポイントは1,000ポイントごとに移行可能。
   Ultimate Rewards ポイントをマイルやホテルポイントに変換できるパートナーFFP/FSPは現在以下の8つある。
 
 英国航空や大韓航空はどうでもいいけど、なんと、ユナイテッド航空の Mileage Plus に変換できる!!
 かつてダイナースがMPマイル変換可能だったが、提携中止の寸前に全ポイント変換して退会した経緯がある。
 以後、米国でポイント→マイル変換できるのはアメックスだけで、しかも Mileage Plus へは変換できないのだ。

 J.P.Morgan Ultimate Rewards へログインしてみるとこんな画面が出てくるので、マイル変換可能なのを確認できる。


 ホテルのFSP変換もできる。CHASEは Marriot、Hyatt、Intercontinental の提携カードを発行しているために、
 これらのFSPへもポイントを移行できるようになっている。アメックスではHHonorsとSPGをカバーしているから
 Amex PlatinumのMembership RewardsとJ.P.Morgan Ultimate Rewardsを併用すれば、ほぼ完璧だろう。

 ・Primary auto rental coverage レンタカー保険のプライマリ・カバレッジ

  米国発行のクレジットカードで、プライマリのカバーをしてくれるのはダイナースと Citi Visa の一部に限られる。
  ダイナース退会後にこの特典を失ってちょっと残念だったのだが、今度から J.P.Morgan Select Visa が使える。

 ・Sickness coverage and emergency evacuation and repatriation

  多くの人がだまされている(笑)が、米国のカード付帯旅行保険は旅先での疾病をたいしてカバーしてくれない。
  そこで現在我が家ではAmexの掛け捨て旅行疾病保険に加入しているが、今度からこのカードでカバーできる。
  さらに渡航先から緊急帰還・避難する時の費用も保証される。これは初めて見たカード保険の特典で興味深い。

 ・25,000 bonus points when you charged over 100,000 dollars

  10万ドル利用すると25,000ポイントもらえる。Amexにつけている経費も全部移して、これを狙おうか悩んでしまう。(爆)

以上、このカードの特徴や特典全体を見渡してみると、これはかなりイイ。いつも United MP Visa とAmex以外のカードでポイントを稼いでも結果的には死にポイントになるなぁ、またしょもない商品券か何かと交換だろうな・・・くらいにしか考えていなかったポイントが、ちゃんとメイン利用のユナイテッド航空へ変換できる。 これはとてもうれしい ♪


で、今回の The J.P.Morgan Select Visa を見つけた時、もうひとつ見つけてしまったのが、こちら。

              

The J.P.Morgan Palladium Visa というカードだ。 今度の貴金属はパラジウムかよ・・・。というのが第一印象。

だが、これはハンパぢゃなくすごい。

カードが 23K + パラジウムの合金でできていて、JPMorgan Private Bank に担当者がいる人だけが発行対象。
23金ホワイトゴールドの素材なわけだから、金相場高騰のご時勢、カード自体に1,000ドル以上の価値がある。

Barron's によれば JPMorgan Private Bank の平均預金額は3,000万ドルだそうだから、今ある財産をぜんぶかき集めて JPMorgan Private Bank へ移しても、我が家は無理ゼッタイ。担当者がついていて、さらにその推挙がないと発行審査の対象にならないので、米国発行のクレジットカードでは Amex Centurion 以上に取得最難関のカードではないだろうか。
特典内容は明らかにされていないが、Amex Centuiron を意識して、ラグジュアリー特典で対抗している模様だ。
それに、もうここまでくると特典もプライベートジェット割引とか、僕には縁のないようなものばかりになってしまう。


結局、僕に分相応で等身大なのは J.P.Morgan Select Visa Card のようだ。 いいカードを作ったと思っている。
来週からチューリヒへ出かける予定なので、さっそく United MP Visa の代わりにあっちこっちで使うつもりだ。
(あ、でも切符は MP Visa で買ってるんだよ(笑)。1,000ドルの切符で 1,000PQM / 3,000RDM もらえるから)
------------------------------------------------