カビリアの夜(’57)
監督:フェデリコ・フェリーニ
フェリーニのネオレアリズモ色の強い初期の作品の中では
『道』 が圧倒的に有名ですが、私はどちらかというと、こっち方が好きです。
どうしようもないぐらい救いがなくても、必ずどこかに救いがあるんですよね。
あと、ジュリエッタ・マシーナ以外の娼婦が全部 “巨乳巨尻” なとこ(笑)
娼婦カビリア(ジュリエッタ・マシーナ)は不幸な生活を送りながらも
いつかは真面目な道に返ろうと望んでいた。恋人に河に突き落とされても
彼女の性格は変らなかった。ワンダ(フランカ・マルツィ)を除いた
仲間の女達は、夢想を語るカビリアを可哀そうな気違い女として扱っていた。
ある日、カビリアの前に運命を変えてくれるであろう男が現れるのだが・・・・・
男に何度も騙されても、人を信じ、幸せになれると思い込んでいるカビリア。
冒頭、カビリアは恋人にバッグをひったくられ、河に豪快に突き落とされる。
それでもカビリアは人を信じようとする。教会に行きマリア様にもすがり奇跡を待つ。
『道』 でもそうでしたけど、フェリーニは自分の嫁に白痴のような
女を演じさせていますけど、その先に透けて見えてくるのは、汚れとは無縁の聖女。
演じる女優によっては、ただの“おバカな女”になってしまうところだけど
そこは、ジュリエッタ・マシーナの魅力で、愛すべき“おバカな女”に(笑)
この映画の脚本には、ピエル・パオロ・パゾリーニも関わっていて
カビリアが住むローマ郊外のスラム街は、まさにパゾリーニの世界。
何にもない更地に大きな穴だけ掘って、そこに生活している老人がいたり
カビリアが小さな持ち家を売り払って家を出たら、貧乏そうな6~7人の家族が
家財道具を乗せた荷台を引きながら、玄関先で今か今かと待っていたりと
パゾリーニの “アッカトーネ(乞食)” 的な世界を描きながらも
アイシャドウと混じった黒い涙を流し、まるでピエロのようなカビリアが
一瞬笑みを浮かべるといったラストシーンに象徴されるように
やっぱり最後は、フェリーニのヒューマニズムなんですよね。
アカデミー賞外国語映画賞受賞作
いつも男にだまされているのに真実の愛に出会えると信じている
純心無垢な魂を持った娼婦カビリアの姿を描いて、世界中に感動を呼んだフェリーニ珠玉の名作。
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