気のいい女たち(’60)
監督:クロード・シャブロル
これぞ “ヌーヴェル・ヴァーグ”! というみずみずしさに溢れ
だから “ヌーヴェル・ヴァーグ” が大好きなんだ!って再認識させられます。
かつ、シャブロル特有の毒っ気もしっかり見せつけている。
小さな電気店に勤める4人の“気のいい女たち”はそれぞれに恋に悩んでいた。
フィアンセがいながらも束縛を嫌うジャンヌ(ベルナデット・ラフォン)
夜は内緒で姿を消すジネット(ステファーヌ・オードラン)
マザコンの婚約者と両親に失望するリタ(ルシール・サン=シモン)
ジャクリーヌ(クロチルド・ジョアーノ)はいつも気が付くと
後をつけてきているバイクの男が密かに気になっていた。
平凡な日常の中で、誰もが理想の男性を求めていたが、現実は厳しかった。
お客が全然来ない小さな電気店に、売り子4人はいらないだろ(笑)
劇中、来た客は電球を買いに来たおじいさんだけ、あとは搬入業者。
ベルナデット・ラフォンなんか、ずっとカウンターに寝そべっている。
そんな9時から7時までの無為な時間を過ごした後の彼女たちの解放感ときたら
すべては私たちのものよ~!って言わんばかりの勢い。
しかし、パリの夜をどう過ごそうかとワクワクさせる彼女たちの想いをよそに
さえない中年男にナンパされ、ジャンヌとジャクリーヌは嫌がりながらも
結局はホイホイとついて行ってしまう。この二人組の中年男がまあ下品なこと
下ネタ込みのオヤジギャグを連発し、度を越した悪ノリで彼女たちをオトそうとする。
電気店の店主のセクハラまがいのねちねちとした個人面談といい
“気のいい女たち” のみずみずしさとは対照的に
男たちをものすごい醜い俗物として描いているとこなんかシャブロルらしい。
仕事が終わると、いつもなぜか姿を消してしまう謎めいたジネット。
(ステファーヌ・オードラン若いっ)
実は内緒でナイトクラブで歌手として舞台に立っていて、たまたま舞台を観に来た
ジャンヌたちを舞台袖から見つけたジネットはパニックになってしまい・・・・・・
と、なんだかんだありながら、みんなで夜の街に繰り出し、夜10時を過ぎて
どこ行こっか~? って突然、プールで彼女たちがきゃっきゃとはしゃぐシーンに
演出なしの、ただ、はしゃいでくださいっていうような彼女たちの姿に
なんだかこっちまで嬉しくなってきちゃいます。
ただ、例の下品な中年男たちがまた登場するんですけどね(笑)
そんな、みずみずしくも毒っ気も絡めた展開から
終盤、突然サイコ・スリラーの様相を呈してきて・・・・・・
後に “フランスのヒッチコック” と呼ばれるようになる
シャブロルの才能の片鱗を垣間見せています。
ヌーヴェル・ヴァーグの旗手クロード・シャブロル監督が電気店で働く4人の女店員たちの恋の顛末を描く。
気のいい女たち [DVD]/ベルナデット・ラフォン,クロチルド・ジョアーノ,ステファーヌ・オードラン
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