モスクワは涙を信じない(’79)
監督:ウラジーミル・メニショフ
「泣かないで! モスクワは涙を信じない。」
タイトルにもなっているこの言葉は、泣いたところで誰も助けてはくれないものだ
という、中世ロシアから伝わることわざなんですって。
'50年代から'70年代にかけて、激動のソ連を生きた女性たちの物語。
田舎からモスクワに出てきた3人の少女は、労働女子寮で暮らす友人同士。
エカテリーナ(ヴェーラ・アレントワ)は学位を取得しようと努力する傍ら
工場で働いている。彼女はあるパーティで、テレビ局のカメラマンをしていた
ルドルフと呼ばれる男(ユーリ・ワシエフ)と出会う。
ルドルフはエカテリーナを誘惑し、やがて彼女は妊娠することになる。
しかし、ルドルフには結婚の意志はなく、エカテリーナは幼子とともに取り残される。
ルドルフの母は彼女に対して、金と引き換えに息子と別れることを提案するが
エカテリーナは拒否する。 そして、20年の時が過ぎ・・・・・・。
二部構成になっていて、前半部分はやや退屈な展開で
どうしたものかと思いましたが、未婚の母になってしまったエカテリーナが
ベッドで泣き崩れ、電気スタンドの灯りを消すと
ぴょ~~~んと、20年飛んで、第二部へ。 後半からやっと本気出したみたい(笑)
娘も大きくなり、エカテリーナは400人の労働者を束ねる管理職に出世する。
他の友人二人は、平凡な家庭に収まったり
夫のアル中に悩まされ離婚してしまったりと、それぞれの人生を歩む中
彼女らを取り巻く社会情勢も大きく変わってきて・・・・
レーガン大統領がゴルバチョフ大統領と会談する前に、この映画を鑑賞して
一般のロシア人の心をより深く理解しようと努めたと言われています。
この頃といえば、ソ連がアフガニスタンに侵攻したり
モスクワオリンピックを西側諸国がボイコットしたり(日本も出られんかった)
ソ連と西側諸国との関係があまりよろしくなかった時代。
アカデミー外国語映画賞も政治的な力が働いていたのかと穿った見方をしてしまう。
そういえば、劇中、女子寮で結婚式を挙げているとき
「西側ではホテルで結婚式挙げるそうよ。」 「宣伝に惑わされちゃダメよ。」
なんていう台詞があったのを思い出しました(笑)
アカデミー賞外国語映画賞受賞作
それぞれに夢と希望を抱いてモスクワに出てきた三人の娘の20年に亘る愛と苦悩、友情を描く。
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