奇跡(御言葉) | Untitled



奇跡(御言葉)(’54)デンマーク国旗


原作:カイ・ムンクの戯曲「御言葉」

監督:カール・Th・ドライヤー


“神”だとか“主”など理解できなくても、涙してしまう “奇跡” の瞬間。

こんな “奇跡” はありえない? そんなことはどうでもいい。 

どうでもよくはないですけど、映画という虚構の世界の中だけはないと信じたい この“奇跡”



1930年代のデンマーク。静かな日々を過ごす農場主ボーエン一家。

家長のモルテンは信仰心が篤いが、長男ミケルは神を信じようとしない。

二男ヨハネスは神学に没頭し過ぎて正気を失い、自らをキリストだと語る。

三男アーナスは、対立する宗派の娘との結婚を夢見ている。

やがて一家に重大な問題が持ち上がる・・・・・。



質素な暮らしの中にも、形式を重んじるドライヤーの作り出す様式美も感じさせ

ゆっくりと静かに進んでいきながら力強さをも感じさせる。

長い、長い、長回しで進んでいく室内劇の中、カメラがゆっくりパンする。

この早すぎず遅すぎずの、ゆっくりとしたカメラの動きがこの映画の鍵だったようにも・・・・

そして何より、クライマックスのひんやりした空間の中での美しさ。

はっと息を呑むその美しさときたら・・・・



最初に “奇跡” “奇跡” と乱発してしまいましたが、原題は括弧書きの方の「御言葉」

「御言葉」とは、神の言葉。 この神の言葉によって “奇跡” が起こったわけで

“奇跡” という言葉が独り歩きしてしまって(笑)

作ったドライヤーにしてみれば、本意ではないでしょう。

ただ、デンマークの特殊な宗教的環境のドラマだけに、神の言葉とかになってくると

アジアの端っこの国の人間としては正直キツイですかね。

劇的な “奇跡” をクローズ・アップするのも致し方ないでしょうか。



ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作

→ カール・Th・ドライヤー監督作品

 
デンマーク映画の古典として知られ、映画史の上でもドライヤー監督の代表作の一つとして語られている作品。
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