私生活のない女(’84)
原作 : ドミニク・ガルニエの同名小説
監督 : アンジェイ・ズラウスキー
良いとか悪いとか、そんな次元の世界ではないズラウスキー。
強いて言うなら、全てがいけないズラウスキー。
オススメするかと聞かれれば、即答でオススメしないと答えるズラウスキー(笑)
複雑な家庭環境のなかで育ち、ヌードモデルをしながら女優を目指す
20歳のエテル(ヴァレリー・カプリスキー)
あるオーディションでカリスマ的な監督ケスリング(フランシス・ユステール)に
見初められたエテルは、彼の新作のヒロインに抜擢される。
撮影を通してケスリングに惹かれてゆきながらも、ふと知り合ったチェコからの亡命者
ミラン(ランベール・ウィルソン)へも心動かされていく。
『ポゼッション』 『ワルシャワの柔肌』 に比べれば意外とまとも?
私の感覚がマヒしてるのかもしれませんが(笑)
映画の中で、もうひとつの映画が入り込み、その境界線が曖昧になり
女優エテルの人格も、どこからが素の自分でどこからが演じてる自分なのか
混沌とした中で “私生活のない女” へと・・・・・
“特定の人のためではない女” と言ったほうが正しいかも。
全てがいけないズラウスキーに、なぜに惹かれてしまうか?
そのひとつは、流麗でインパクトのあるカメラワーク。
荒れ果てたパリの街並みを、足早に歩くヴァレリー・カプリスキー
そんな彼女の姿を、ややあおり気味の構図で移動撮影したオープニング。
そこに、ビシッとタイトル・クレジットが出るあたりはかなり好きだ。
撮影監督は、サッシャ・ヴィエルニー。他に、アラン・レネ作品とか撮ってる人らしい。
この人の撮影なら、どうでもいい監督の作品でも観てみたいとさえ思ってしまう(笑)
ひとりの女優の誕生をセンセーショナルに告げる異端の才能アンジェイ・ズラウスキーの衝撃作。
私生活のない女 [DVD]/ヴァレリー・カプリスキー,フランシス・ユステール,ランベール・ウィルソン
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