シベールの日曜日 | Untitled





シベールの日曜日(’62)フランス国旗


原作 : ベルナール・エシャスリオーの「ビル・ダヴレイの日曜日」

監督 : セルジュ・ブールギニョン


「シベールっていうのは、木と土の女神なのよ。」

大好きになる映画って、最初の数十秒でビビッときて、数分でそれが確信に変わり

終わってみれば完全にハートを掴まれてしまうもの・・・・。この映画が、まさにそうっ!

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

戦争で空軍パイロットとして従軍していたピエール(ハーディ・クリューガー )は

飛行機の墜落によって記憶を失う。恋人も友人もいるのに、心を占めるのは孤独感ばかり。

そんなある日、彼は街で一人の少女と出会う。その少女フランソワーズ(パトリシア・ゴッジ)は

父親に捨てられ寄宿学校に入れられた、ピエールと同じ孤独な存在。

年の離れた二人の、穢れなき日曜日の逢瀬が始まる。

しかし、周囲の目は純粋な二人を理解することができなかった……。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

一般社会の中では、このピエールという男はちょっと頭の足りない変人という扱いをされるでしょう。

もっと言ったら、この作品自体 “ロリコン映画” とバッサリ切り捨てることもできましょう。

でも、でも、本物の純愛って、そういうものを超越したところにあるものなのでは・・・・。

決してお互いの傷を舐め合うのではなく、孤独な者同士の魂が寄り添うように・・・・。

純愛を熱く語る私もちょっと気持ち悪いですけど(笑)

ただ、このニ人を見ているとほんとにまっさらな状態でお互いを愛しみ合っているんです。

時には兄妹のように、時には親子のように、時には恋人のように・・・・

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

樹木や湖が優しく包み込むように、ふたりを見守る。

かすかに聞こえる自然の音。遠慮がちに流れる音楽。

モノクロ映像の美しさは、アラン・レネの 『去年マリエンバートで』 か

コレかっていうぐらい美しい、神秘的な詩的映像の世界。

水面に映し出されるピエールとフランソワーズの姿が波動でゆらゆらとゆれる映像なんか

なんかもう、ここら辺がキュッと締めつけられてしまう・・・・・

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

父親にべったり甘えるようなそぶりをしたかと思うと

「私がお母さんのかわりになってあげる。」

「私が18になったら、あなたはまだ37だから結婚してあげる。」

なんて、おませなことを言うフランソワーズ。

ふたりで愛の言葉を確認しあっていると

「そんなことまで、言わせないでよ。」 

どこで、そんな言葉覚えたの(笑)

純真無垢な少女の姿と同時に、自立したひとりの女性のようにも見えてしまう。

抜群の存在感を見せた少女役のパトリシア・ゴッジ

ゾラ原作の 『居酒屋』 (ルネ・クレマン監督)でナナ役を演じた

シャンタル・ゴッジの妹らしい。 やっぱり天性の才能を受け継いでいるのか。


アカデミー賞外国語映画賞受賞作

→ アカデミー賞受賞作

戦争で記憶を失ったピエールは、寄宿学校に入れられるために街を訪れた少女と出会う。ふたりは毎週日曜日に会い、互いの孤独な心を癒し合うが、周囲の人々は異様な目で見ており…。
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