別離 | Untitled





別離(’11)イラン


監督 : アスガー・ファルハディ


ベルリン、オスカーをはじめ、90冠を超える映画賞に輝き

担当者も何個、賞獲ったっけ? と何回も数え直したのでは(笑)

賞を獲ればいいってもんじゃないですけど、これは素晴らしい作品!

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

テヘランに暮らす夫婦ナデル(ペイマン・モアディ)とシミン(レイラ・ハタミ)

妻のシミンは娘テルメー(サリナ・ファルハディ)の将来を考え、海外への移住を計画していた。

しかし、夫のナデルは、アルツハイマー病を抱える父を残しては行けないと反対する。

夫婦の意見は平行線を辿り、ついには裁判所に離婚を申請する事態に。

離婚は簡単には認められず、シミンは家を出てしばらく別居することに。

一方ナデルは父の介護のため、ラジエー(サレー・バヤト)という女性を

家政婦として雇うのだったが、思わぬ事態へと進んでいく・・・・。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

ぎすぎすした人間関係に、いくつもの伏線を張り巡らせたスリリングな展開。

それに加えて、信仰というものが絡んで、独特の緊張感を生み出している。

ナデルの父が粗相をしてしまい、家政婦のラジエーは困惑し、どこかへ電話して

体に触れて大丈夫なのかと問い合わせる。電話の先は、イスラム教の聖職者。

イスラムの教えで男女隔離が厳格なイランでは、女性が他人の男に触れるのはタブー。

イランも日本と同じく高齢化が進んでいるのに、介護する人が追いつかない。

終盤には、あるお金を受け取ったら子供に天罰が下るのでないかと本気で心配して

また、聖職者に電話で問い合わせる。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

劇中、私たち日本人には、何でそんなことすんの? っていうシーンが少なくない。

これは、イラン独特の社会背景であったり、宗教上の問題であったり

公式HPでは、「映画『別離』を理解するためのワンポイント」 というのがあって

こいつエゴ丸出しで理解できないっ、と思っていたことも

共感できたり、やっぱり理解できないって感じたり

現代的で海外志向の強いシミンと、信仰の厚いラジエーの

頭に巻くフカーフの違いひとつとっても、伝統と近代化の狭間で揺れる

イランの社会情勢を垣間見ることができます。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

離婚してしまうかもしれない両親を何とか繋ぎとめようとする

娘テルメーの姿がいじらくって・・・・

でも、大人と同じように小さな嘘をつかなくてはならなくなんて・・・。

ラジエーの娘と最後に目を合わせたシーンはちょっと寒気がした。

ラストのどっちつかずの後味の悪さも、キアロスタミみたいで格別です(笑)


ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作

→ ベルリン国際映画祭受賞作

アカデミー賞外国語映画賞受賞作

→ アカデミー賞受賞作



離婚の危機を迎える夫婦、つなぎとめようとする娘、そして、彼らの問題に巻き込まれていくもう一つの家族。すべては愛する人のために、守るべきもののために――。
別離 [DVD]/レイラ・ハタミ,ペイマン・モアディ,シャハブ・ホセイニ

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