ジャン・ルノワールの小劇場(’69)
監督 : ジャン・ルノワール
「未来の世代のために、1本だけ映画を保存するとしたら、私はこの作品を選ぶ」
エリック・ロメールに、ここまで言わしめたルノワールの遺作。
大きな大きな愛に包まれています。
ルノワール本人が劇場主として登場し、4本の短編を紹介していきます。
ボケた画しか見つからなくて、良さが伝わりきらないのが残念。
第1話 「最後のクリスマス・イヴ」
雪の中、裕福な人々を眺める浮浪者。彼は愛する女性と二人、幸せなクリスマスを過ごす。
「君がいなければ退屈だ。飢えや寒さは我慢できるが退屈は我慢できない。」
川べりで踊りだす二人。すると豪華なパーティー会場に様変わり。
アンデルセンへの敬意を込めたというこの一編
悲しさの中にも、そこから見える小さな幸せがにじみ出ています。
第2話 「電気床磨き機」
電気床磨き機に夢中の妻と機械音から解放されたい夫のドタバタ喜劇。
幕が上がると、地下鉄の出口から押し出された無数の男女が
「メトロ~♪ コピー機~♪ 貸方勘定~♪」
機械に蝕まれた現代社会へ向けた痛快ミュージカル。
電気床磨き機で、ウィ~ンと磨いた後のくだりには大爆笑っ。
第3話 「愛が死に絶えるとき」
ジャンヌ・モローが舞台に突っ立ってシャソン曲「愛が死に絶えるとき」を歌う・・・・
・・・・だけの幕間劇。 え?これだけ? と思うものの
ジャンヌ・モローをこれだけしか登場させないのは、ある意味贅沢か。
第4話 「イヴトーの王様」
気のいい初老の男と、若く魅力的な妻。そして、彼女とつい関係を結んでしまう獣医。
南仏の陽光に包まれる、愛すべき人たち。
妻の浮気だの人間の些細な諍いは
たおやかで大きな自然の中では、どうってことない。
すべてことを笑い飛ばしてしまうラストの幸福感。
ルノワールらしい最高の終わらせ方です。
ジャン・ルノワール監督作品
ルノワール本人がひとりの劇場主として登場し、4本の短編を紹介してゆくオムニバス作品。生への限りない愛にくるまれた4つの宝石のような物語。
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