反撥 | Untitled




反撥(’64)イギリス


監督 : ロマン・ポランスキー


狂気. ブロンド. ナイフ.  Repulsion(反撥)

めっちゃ怖かった・・・・・ 怖いのダメな方はやめた方が良いと思います。

でも、この完成度の高い作品を避けるのも、もったいない気がします。

オープニングは、カトリーヌ・ドヌーヴの瞳のアップ

その瞳の中に、タイトル・キャスト・スタッフクレジット・・・もうすでに怖い・・・・

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

ロンドンのビューティーサロンで働く内気な性格のキャロル(カトリーヌ・ドヌーヴ)

反対に活動的な姉のヘレン(イヴォンヌ・フルノー)とアパートで2人暮らし。

隣の部屋から聞こえてくる姉と不倫男性の情事の気配。

男性に対する嫌悪。 しかし、彼女は男性に対し嫌悪以上のものを募らせていく・・・・

潔癖、憎悪、嫉妬、、、、いつしか性的な憧れから「妄想」を抱くようになり…

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

姉の不倫男性の歯ブラシや髭剃りナイフに嫌悪するドヌーヴなのですが

床に無造作に投げ捨てられてあった男物のランニングシャツを指でつまんで捨てようとする。

しかし、つまんだまま固まってる・・・そして、彼女はシャツに顔をうずめ温もりを確かめる。

狂気がじわじわと静かに侵蝕していく過程が実に上手いっ!

グロさだったり、過剰に恐怖を煽る描写はないのですけど、この上なく恐怖を感じる。

ドヌーヴが妄想で男に犯されるシーンがあるのですけど

音楽や効果音はなく無音・・・無機質でありながら官能的

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

ポランスキーによる細かいけど効果的な演出が見事です。

ドヌーヴが勤め先のサロンでお客さんの爪を切っていて

彼女は心ここにあらずで、お客さんの指を切ってしまうんです。

ハッと気づいたときには、床にマニキュアのビンがコマのようにくるくる回っている。

「上手いっ!」 って思わず叫んでしまいました。

他にも、やかんに映るドヌーヴの顔、壁や道路の亀裂、情事の後の姉のベッドなどなど

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

「今夜のディナーは、ウサギ料理よ」

と、姉が作ろうとしたウサギ料理が、その場だけでは終わらず

後々、恐怖を感じる小ネタとなるんですよね。

個人的には、お願いだからウサギを食べないでっ(笑)

姉の不倫男性の髭剃りナイフや捨てようとしたランニングシャツも同じように

後々、ゾッとするような使われ方をされています。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

モノクロ映像に映えるカトリーヌ・ドヌーヴの美しさ

特に、壁に映るドヌーヴの影のラインが美しくもあり、不気味でもあり

今作のドヌーヴは、お姉さんのフランソワーズ・ドルレアックに近い感じがします。

なので、ドヌーヴ出演作品で1番好きです。 あ、ポランスキー作品の中でも1番かもしれない。

カイエ・デュ・シネマ誌の批評で

「ポランスキーの映画の中には、恐怖とともに常にある種の快楽がある」

それが顕著に現れたこの作品。 サイコ・サスペンスの極致です。


→ ロマン・ポランスキー監督作品


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