天国と地獄(’63)
原作は、エド・マクベインの小説 『キングの身代金』
監督は、黒澤 明
面白いっ!!
“面白い” なんて、ありきたりな言葉は使いたくないのですが
面白かったですわ~
もう使いません(笑)
会社役員である三船敏郎の元に息子を誘拐したと電話が入る。
しかし誘拐されたのは社用車運転手の息子だった。
誘拐犯はそれでもなお三船に身代金3,000万円を要求してくる。
前半は、三船邸での、じりじりとした密室劇なんですね。
声だけしか登場しない誘拐犯との息づまるような展開
そして、中盤での大きな山である “特急こだま” でのシーン
あのスピード感、あの緊張感、予想のつかなかった展開
この大きな山を挟み込んで、後半の犯人を追い込む屋外劇へと進んでいくんです。
こういったストーリーの組み立てが見事です。
映画史上でも有名な、煙突から桃色の煙が立ち上るシーン
黒澤作品で初めてのカラー映像
モノクロ映像に色を加えるといった手法は
黒澤監督を崇拝する、フランシス.F.コッポラやスピルバーグが
自身の作品で採用していたりしてます。
ただ、お台場で踊っている刑事ドラマの映画版で
このシーンのオマージュらしきことをしていますが
観客をバカにしたような、パクリです。
第2弾では、松本清張の 『砂の器』 のパクリでしょう。
8チャンの中だけで、やってほしいものです。
話を戻しまして~
後半の犯人を追い込む屋外劇
前半の三船敏郎メインから、刑事役の仲代達矢メインへと移行していくんです。
ナイト・クラブでの喧騒、キーとなるダンス・シーン
麻薬街のおどろおどろしい陰惨さ
全編通してムダなシーンがないです。
完成されつくした映画です。
黒澤 明監督作品
誘拐犯と捜査陣の行き詰まる対決はもちろん、貧富の差と社会の矛盾がもたらした犯行動機を描き切る重厚な人間ドラマ、巧妙な脚本と独自の映像センスで観る者を圧倒する傑作サスペンス。
天国と地獄<普及版> [DVD]/三船敏郎,山崎努,香川京子
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