山椒大夫(’54)
山椒大夫(さんしょうだゆう)と読むそうで
国語力のない私は、またもや読めませんでした。
原作は、森 鴎外
監督は、溝口健二
溝口監督が描く “人間愛” に涙、涙です・・・・
あ、画像の左から2番目の少年、津川雅彦ですよ。
ビックリです。かすかに面影があるでしょうかね。
農民を救おうとした父が、朝廷の命で左遷されてしまい、
妻、田中絹代と幼い兄妹は、召使を連れて、その父に会いに行く。
その途中、人買いに騙され、親子離ればなれになってしまう。
幼い兄妹は、荘園領主・山椒大夫に売られ、奴隷としてこき使われるようになる。
この、あらすじ書いてるだけで泣けてきてしまう。
親子離ればなれになるシーンとか、召使のおばさんを船の上から容赦なく落とすんです。
その落とし方が、ほんと容赦ない。
後ろ向きで、頭から落とされてましたからね。
それから10年、大きくなったは兄妹、花柳喜章と香川京子は、依然として奴隷の境遇のまま
兄、花柳喜章は自暴自棄になって、山椒大夫に完全服従してしまい
脱走しようとした仲間の奴隷の額に、焼きゴテで焼印する、という手伝いもしてしまう。
こういう虐待のシーンは、直接見せてはいなのですが、とても残酷です。
彼らの母、田中絹代は、遊女として売られてしまって、彼女への虐待シーンも
周りにいる遊女たちのリアクションだけで、残酷さがひしひしと伝わってきます。
そんな時、妹、香川京子は、新しく買われた奴隷が口ずさむ唄に、
自分たちの名前が呼ばれているのを耳にする。
この香川京子、ひたむきで芯の強い女性の姿に胸を打たれた。
入水のシーンは、生涯忘れられないシーンとなった。
最後、水面に作った波紋が、すーっと広がっていく。
これ以上ない哀しさ、美しさだった。
海へゆっくりとパンしてゆく印象的なラストシーンは、ジャン=リュック・ゴダール監督の
「気狂いピエロ」のラストで引用したという。
“人間愛” を強く感じた作品ではあったが、僧侶が、花柳喜章に言った台詞が忘れられない。
「世の中、一人の力ではどうにもならない。人間は我が身のよすがに関わりが無ければ、
人の幸せ不幸せには、ひとかけらの同情心も持たない」
ベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞作
ベネチア国際映画祭受賞作
※参考 Wikipedia
人攫いの罠にかかり、母親と離れ離れとなった厨子王と安寿の兄妹は、豪族山椒大夫の許に売られて奴隷となる。
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