監督、脚本、主演、ジャック・タチ
よく、ポスターやポストカードで見かけていたのは、この映画だったのですね。
私、何の映画かわからずに買いましたよ、ポストカード（笑）
オープニング、ビルの建設現場をバックに金属のプレートに書かれたスタッフ、キャストクレジット
が映し出されます。斬新です。
そして、工事の騒音が消えてゆき「ぼくの伯父さんのテーマ」流れ出し、犬が駆けずり回り
レンガの壁にチョークで書かれた 『Mon Oncle』 のタイトルが映し出されます。
もう絶対、この監督いい人だ。って勝手に思ってしまいました（笑）
こんな素敵なオープニングなら、この後2時間ぐだぐだでもいいっかな？ なんて思ったり
そんなの嫌ですけど（笑）
いえいえ、ぐだぐだどころか、2時間笑いっぱなしでした。
笑える小ネタ満載です。
多分、見逃してしまった小ネタもあるんじゃないかな。
ジャック・タチさんは元々、パントマイム芸人だったんですね。
この人のセリフは必要最小限です。
正直、全部の小ネタ書きたいぐらいなんですけど、何書こうかな・・・・・
見栄と虚栄を取り繕う大人の社会を、なかなか社会に順応できない 『ぼくの伯父さん』 を通して風刺を効かせてるんです。
でも、痛烈批判というわけでもなく、押しつけがましくないんです。
だから、風刺を効かせたシーンでも 『別に深く考えずにスルーしてもらっても構いませんよ』
と、ジャック・タチが言っていそうな気がします。
下の画なんですけど、上流階級特有の大袈裟な挨拶をしているんですけど、エントランスの道がS字になっているもんだから
2人とも違う方向に向かって挨拶してしまってるんです。
上流階級に対する風刺ですけど、ちょっと微笑ましい。このオバサンたちも何処か憎めない。
やっぱり、この 『魚型噴水』 ですね。このネタで1時間ぐらい引っ張ってました。
この 『魚型噴水』 が、見栄と虚栄の象徴になるんですよ。
普段は、この噴水止めてるんです。お客さんが来た時だけ水を出すんですけど、人を選んで出したり止めたりするんですよね。
止めたときに、ゴボッゴボッ って、この魚くん、何か言いたそうな気がします。
この庭でパーティーするんですけど、この 『魚型噴水』 が大活躍します。
ああ～ 思い出しただけで笑ってしまう。
犬たちも名演技してます。
おっさんのカバンの中に何故か魚が入っている。その魚の頭がカバンから、はみ出している。
おっさんが八百屋で買い物してる時に、足元にいる犬が、カバン型の魚を見て ウ～ウ～ って唸るんです。
『何者だコイツは』 って顔するんです（笑）
あと、光センサーを上手く使って愛犬が飼い主夫婦をガレージに閉じ込めるんです。
女中を呼ぶんですけど、光センサーにビビって 『感電してしまう・・・・』
これも軽～く、文明社会への風刺なんですけどね。
近代的でお洒落なソファーも 『ぼくの伯父さん』 の手にかかったら、このざまです（笑）
全編を通して 『掃除をしない掃除のオッサン』 が出てきます。
掃除をしようとするんだけど、通行人と話し込んだりして、なかなか掃除しない。
このキャラ好きですね。「レレレのおじさん」は、ここからきているのではないだろうか？
好きな小ネタを箇条書きにしてみたんですけど、まだ10個以上あります（笑）
もう、きりがないのでやめます。
ジャック・タチさん、とても温かい人です。
同じDVDに、彼のデビュー作
郵便配達の学校（’４７）
が、収録されています。
15分程度の短編です。
普段、生活していて「15分」は、あっという間で、なんてことない時間ですけど
このなんてことない時間が、温かくて素敵な「15分」になります。
アカデミー賞外国語映画賞受賞作（ぼくの伯父さん）
アカデミー賞受賞作ユロ伯父さんは変わり者の独り者。プラスティック工場社長でモダンな邸に住んでいる姉婿のアルペル氏夫人にとっては、厄介者だ。そんなことも気にしない、気ままでのんきなユロ氏は下町暮らし。
ぼくの伯父さん [DVD]/ジャック・タチ,ジャン=ピエール・ゾラ,アドリアンヌ・セルヴァンティ
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