黒いオルフェ | Untitled



黒いオルフェ(’59)フランス国旗ブラジルイタリア国旗


ブラジル、リオのカーニバルを背景にギリシャ神話の 『オルフェとユリディスの愛』 の現代化を試みたもの。

監督は、マルセル・カミュ


黒いオルフェ(原題 Orfeu Negro)なんてタイトル、よく付けましたね。

問題なかったのでしょうかね。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-オルフェ

これは、困った映画ですね。


鮮やかな色彩、美しい風景、陽気な人たち、心まで踊りそうなサンバのリズム

劇中流れた「フェリシダージ(悲しみよさようなら)」「カーニバルの朝(黒いオルフェ)」はわが国を含む全世界で大ヒットし、

一大ボサノヴァブームを巻き起こすことになる。

そして今作品は、アカデミー賞外国語映画賞とカンヌ国際映画祭パルム・ドール賞をW受賞した。

これだけ条件が揃っていて、今更面白くないとは言えない。

でも、私の中では微妙だった。

映画の中のテンションと私のテンションには明らかに温度差があった。

『ブラジル』 と 『北海道』 の温度差のことを言っているのではなく、映像、音楽はいいのに何故か身を任せられない。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-オルフェ

設定やストーリーに無理があるのではないか。

元々ストーリーにはそれほど気にならないほうだが、これは凄い気になった。

少し頭の悪そうな婚約者だけど、他の女に手を出すオルフェもどうなのか。

手を出すにしても、その過程も安直だし。

そして、あの全身タイツの男は何なのか。

あと電気ショックって・・・・・・・・

何なら、もっと寓話的にしてみても良かったのでは・・・

そしたらリアルなブラジルの姿を表現できないという訳か・・・・

元のギリシャ神話のストーリーを読んでみたんですが、今作品は、かなりいじってますね。

元ネタどおり、オルフェとユリディスを夫婦にしておけば良かったのに。

婚約者の女は、大地主の娘で、お父さんが 『セリフの多い役で出してやってよ』 と製作者に

菓子折り持っていったのではないか? と勘ぐってしまう。


1ヵ所、画面に向かってツッコンでしまったところがあって、少年たちがオルフェに

『そのギターで太陽を昇らせてよ』

と、無理な注文をするのですが、翌朝、オルフェは日の出直前にギターを弾き始めるんです。

天気の悪い日以外は、そら昇りますわな太陽が、

『わ~い 昇った~』

おいおいおいおいおいおいおい

あんまり、こういう事細かく言ってもしょうがないのかもしれないけど、気持ちが入っていけてないので

どうしても粗が目立ってしまう。

そんな事を言ったら、最近私が心酔してる『ゴダール作品』は、どうなのかと言われれば返す言葉がないのだが・・・・・

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-オルフェ

出演者は、ほとんどが素人。これもリアルなブラジルを表現しようとしていたのだろうけど

ただでさえ、ギリシャ神話という難しい題材なのに、とても褒められた演技ではなかった。

素人をドキュメンタリータッチで描くならわかるが、素人に背伸びして演技されたら観る側はキツイ


この記事書きながら、画像貼り付けていて 『画が綺麗だなぁ』 って感じます。

だから尚更、惜しい。


最後の、『それでも人間の営みは続く』 というメッセージを込めた映像は好きです。


ジャン・コクトーが、このギリシャ神話をベースにした 『オルフェ』 というのを作っているようで。

観てみたい気もするのですが、まずレンタルでは無理でしょう。



カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞(当時グランプリ)受賞作

→ カンヌ国際映画祭受賞作

アカデミー賞外国語映画賞受賞作

→ アカデミー賞受賞作








リオ名物、年に一度のカーニヴァルは強烈なリズム、ギラギラする鮮烈な原色、思い思いの仮装をこらした黒い肌が夜を徹して踊り狂うエクスタシー。カーニヴァル見物にやってきた娘とギターがうまい市電の運転手は踊り明かすうちに恋が燃え上がり・・・
黒いオルフェ(ポルトガル語版) [DVD]/ブレノ・メロ,マルベッサ・ドーン,ルールデス・デ・オリヴェイラ

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