ミツバチのささやき | Untitled




ミツバチのささやき(’73)スペイン


監督は、10年に1度しか映画を撮らないと言われる、ビクトル・エリセの処女作



ゆったりと流れる時間・・・・  静かな詩的映像美です。

繊細なタッチで描かれる映像は、触れてしまうと 『ぱりん』 と割れてしまうようなガラス細工のよう

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スペインのとある小さな村に 『フランケンシュタイン』 の巡回映画がやってくる。

6歳の少女アナはその映画に登場する異形の男・フランケンシュタインに魅せられる。

『フランケンシュタイン』 は、ただの怪物映画だが、アナは彼に人間らしさを感じてしまう。
 
姉イザベルを対に描くことで、子供のままのアナが良く描かれていたと思う。

例えば、指を怪我したイザベルが血で口紅を塗るシーンであったり、焚き火をまたぐイザベルに対し

それを複雑な眼差しで見つめるアナであったり

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好きなシーンはと聞かれたら、全てのシーンと答えてしまいたいぐらい無駄のない映画です。

その中でも特に好きなシーンは

丘の上から荒れ地の向こうにある廃屋へと走っていき、小さい点のようになった2人の姉妹

影絵で会話する2人の姉妹

そして、列車の通過を見守る2人の姉妹

このシーンは、自分が小さな頃感じたような、何か胸が締めつけられるような気持ちになった。

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エリセ監督にいわく

『少女アナの成長過程は単に無垢な少女が虚構を信じてしまう純粋さだけでなく、少女の感受性を通して

「知」を獲得するに至る様と未知の世界へ旅立つ勇気を描きたかった』

リンゴをあげるシーンは、姉イザベルや両親の目を通してしか物事を理解できなかったアナが自らの意思で行った行為

このまっすぐな眼差しは、自分たち大人が何か忘れてしまったものを思い起こさせてくれるかのよう

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エリセ監督がマドリードの小学校で初めてアナ・トレントに出会った時、彼は

『フランケンシュタインが誰だか知ってるかい?』 と話しかけた。

するとアナは 『知ってるわよ。でも、まだ紹介してもらってないわ』 

また、脚本ではアナの役名はデリヤになっていたが 『どうして名前を変えなきゃいけないの?』 と反発し 『アナ』 は 『アナ』 になった。

実際にアナは映画とともに虚構と現実の世界をさ迷っていた。

後にエリセ監督は 『映画には奇跡はないがアナとの出会いはまさに奇跡に思えた』


私も、この映画との出会いは奇跡に思えました。

死ぬまでに10回は観たい映画です。




舞台は40年代、スペイン内戦後の小さな村に、希望と夢を乗せて1本の映画がやってきた。その名は「フランケンシュタイン」。すっかり映画に魅せられた主人公アナは、フランケンシュタインを探す冒険に出る。
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