【報告】一坪反戦地主会関東 我部政明講演
【報告】沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック総会記念講演
我部政明さん講演 2月23日
2月23日、我部政明さん(琉球大学)の講演会が行われた。沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック総会の記念講演として行われたもの。我部さんは、沖縄密約問題から米兵少女レイプ事件が示す日米安保体制の問題点について講演した。
「2月20日、沖縄密約裁判で原告西山太吉元記者の訴えを門前払いする東京高裁判決が出た。きちんと報道されないが、日米返還に伴う日米密約には3つはある。
一点目は、沖縄への有事の核再持込み。二点目は米軍の民有地の軍用地への勝手な使用に対する補償金という米国が本来払うべき金を日本が肩代わりし、3億2千万ドルが米国に支払われた。71年当時、西山さんはこの点に疑問を持って取材を始めた。74年に400ドルが地主に支払われたことが判っているが、残りが何に使われたかは未だ分からない。
三点目は米軍の移転費を日本が負担するという『ルール』が決められた。本来、米側が負担すべき基地維持費を日本側が負担するという『思いやり予算』につながる密約だった。これに基づいて、横田、横須賀、座間への東京の基地の集約、米軍施設・住宅の建設が進められた。
今回の暴行事件は基地外居住する米兵が起した。問題点を三点指摘したい。
第一に、家賃は米兵の誰が払っているのか。米兵が住んでいるのは月2、30万円の住宅で普通の住宅手当では住めない。日本の税金で家賃を払っているのかはっきりすべき。
第二に、日本は現行地位協定でも認められている一次裁判権をなぜ行使しないのか。米軍構成員犯罪の検挙数は昨年46件と発表されているが、起訴数は発表されていない。先日の辺野古での米兵侵入事件でも、日本は裁判権を行使せず、身柄を米軍に渡したようだ。1960年当時の米議会秘密会で、米政府は裁判権が基地受入国にあるケースでも98%で米軍に身柄があると答弁している。
第三に、米軍基地内の犯罪はどうなっているのか。人口比で米兵犯罪は日本の平均より少ないと主張されるが、公表された数字には基地内犯罪はカウントされていない。そして、犯罪の方向は常に同じ方向だ。
米軍の星条旗新聞を読むと、レイプ、暴行、DVなど犯罪が結構あり、在独空軍基地では性的暴力に関するセミナーが行われている。だが、件数は公表されていない。
もう一点、米軍再編は軍人同士が政治的問題を考慮せずに合意した。レイプ事件が示すような政治的社会的コストを誰が払うのか。『米兵レイプ事件は何件までなら我慢できるか』ではなく、米兵レイプ事件はゼロでなければならない。
安保条約といえども、自分たちが払えるコストでなければもたない。この問題を日米政府に突きつけている」