コーエン国防長官(1997年当時)の過去の発言について。 | PygmalionZのブログ

PygmalionZのブログ

ブログの説明を入力します。

コーエン国防長官(1997年当時)の、この文章に基づき人工地震兵器陰謀論を唱える方々をTwitterで見かけた。
論拠を示しているのは感心だが、陰謀論に都合の良い様に読み替えている節があったので自分なりに読んで解説してみた。

陰謀論者の方々によるとコーエン長官が言っている「これは事実」の「これ」はアルビン・トフラー(米国の作家、未来学者、著書『第3の波』が有名)の引用以下の行の様々な兵器開発の事を指していて、米国防長官がこれを受けて「努力の強化が必要」と言っているという様な主張であった。
彼等はこの主張を以て国防長官が地震兵器に注意を払っているとした。
しかしながらこれは文章を読み誤っている(または読み替えている;原文 URLを参照)。

コーエン長官はNunn上院議員への回答の前半で(虚言によって生み出された在りもしない)幽霊スパイ(Phantom Moles)よる「誤った脅威」が組織を麻痺させるという事を指摘し、「同様の事がある種の化学兵器、生物学兵器などの兵器についても言える。」としている。同様の事例として少なくとも「幾つかの国においてエボラウィルスの様な非常に危険な事態を招くものを作ろうとしている。」という「報告」がある旨を述べ、さらに「アルビン・トフラーは民族、人種を選択的に抹殺する病原体兵器の研究を行っている科学者の観点で生物学兵器に言及している。」としている。また「他にも気象改変兵器、地震兵器、遠隔操作可能な火山兵器による環境型テロリズムにさえ飛びつく者さえいる。」としている。

この文章の流れからしてコーエン長官は、生物学兵器や気象改変兵器、地震兵器、火山兵器について「誤った脅威」を生み出す物と考えている。

さらにコーエン長官は「他国にテロを仕掛ける事の出来る方法を見つけ出す多くの独創的発想がある。」と述べいる。ここからコーエン長官は「誤った脅威を植え付ける方法を含むテロに関する独創的発想がある」と考えていると思われる。

コーエン長官はこの質問に対する回答の結びに「それは事実、それが努力を強化する理由である。」としている。
ここで「それ」とは回答の趣旨からみて「誤った脅威」と考えるのが妥当だろう。
つまり、努力を強化すべきは「誤った脅威」と本当の脅威を見分ける為の努力、即ち情報収集/分析能力の強化と言う事。
決して兵器を作る努力ではない。

陰謀論者の方々は文脈も考えず陰謀論に都合の良い様に無理矢理兵器の話にすり替えて人工地震兵器の存在理由としている。

因に、米国は「環境改変兵器禁止条約」(1977年)に加盟している。
そうした国の国防の責任者が環境改変兵器である人工地震兵器を作る努力をしているなどと、怪しげなサイトなら兎も角、国防総省の公のHPで公表する筈が無いくらい判りそうな事。

文章は読み違えると(あるいは読み替える)全く逆の答えを導きだす事がある。

特に母国語でない文章なら尚更である。
この文章を正しく読むと「地震兵器を信望する陰謀論者は誤った脅威を流布する者」となる。
こうした文書を斜めに読んで陰謀論に繋げるのは甚だ稚拙というほかあるまい。

 原文URL http://www.defense.gov/transcripts/transcript.aspx?transcriptid=674 ※問題の行はこの中の4つ目のQ&A。