花嫁さんの実家に到着。一部の女性は外で、歌や踊りを続けている。部屋の中に入っていく女性たちもいる。何が始まるのだろうか、見当が付かない。中は非常にリラックスしたムード。久々に会う親戚同士なのか、おしゃべりが絶えない。あちらこちらで号泣するベビーの泣き声が響く。そして長い結婚式で疲れたのか(本日は3日間の結婚式の最終日)ゴロンとオバサマ達がここかしこに横になっている。結婚式のために着飾った女性達のお化粧も濃い。アフガニスタンの女性はとても美しい人が多いのですが、ここまで厚塗りだと、その美しさも薄らいでしまう...小さな女の子も、お母さんの横でマーカーを使ってお化粧ごっこをしたのか、オバQやプロレスラー張りのメイクをしている...
しばらくすると、男性陣が中庭に入ってくる。10人ほどの男性が、男性達が囲む中庭の一角と家の一室を結ぶように一列に並び始めた。おお!何かが始まる...すると、女性達がたたくタンバルのリズムに乗って、次から次へと、絨毯、布団、毛布、カーテン、枕などがバケツ・リレー式に部屋から運び出され、中庭に山積み始められる。次はキッチン用品。スプーン、フォーク、ポット、お皿(大)、お皿(小)...一点一点リレー方式で運び出され、並べられていく。どうやら、「公開式嫁入り道具納入会」らしい。一通りの荷物が運び終わると、この荷物がお婿さん宅に運び去られていく。
(↑バケツリレー方式で運ばれるカーテン)
無事に嫁入り道具のお披露目が終わり、いよいよ花嫁登場か?!? と期待していたら、周りが再びわらわらとチャドールやブルカをかぶり始め、何やら移動の準備。そこで、事務所に戻らなくてはならない時間になり、会場を出ることになった。
一体誰が花嫁と花婿なんだぁ??? そんな質問を頭のままに去った。後からスタッフに聞いたところ、こちらでは花嫁も花婿も式の来客にはお披露目しない風習があるそうです。
さて、昨日の村長さんの言葉:
「世界は、アフガニスタンの女性達は虐げられ、閉じ込められているという間違った印象を持っている。結婚式に来て、ここの女性がどんなに楽しくドンチャン騒ぎを見たら、そんなことはないということが分かる。是非それを見て、世に広く伝えてくれ。」
村長さんの言いたいことは良くわかります。タリバン政権が崩壊したら、「アフガニスタンの女性はブルカを脱ぎ捨てる」と思っていた人が多くいたように、アフガニスタンの女性の立場が非常に単純化されているように思うこともあります。アフガニスタンの女性は、「抑圧され、自由を奪われ、弱くて可哀相」というイメージで報道されていることが多いことも、否定できないのではないでしょうか。村長さんの言うように、この会場や、今まで私が接触してきたアフガニスタンの女性たちは、このようなイメージとは程遠いものです。彼女達は活気に溢れ、女性として美しくあること、母親として逞しくあることをプライドに思っています。
しかし、「家庭」という枠組みの外での社会的進出、基本的な人権保護の観点から、アフガニスタンには大きな課題が残されています。涙なしには聞けない、悲しい経験をしている女性や女の子は沢山います。なので、村長さんには申し訳ないけれども、100%同意することはできないのです。