(※今回の流出ビデオはうさん臭いが本物と仮定して、)
1、何が悪くて、2、誰が悪いのか。
まず、1、何が悪いのか。
最高裁判例によると、国家公務員法で罰せられる条件(要件)のひとつは
世間に「知られていない事実」(非公知の事実)をバラしたとき。
「衝突という事実」は知られているので、今回の流出ビデオによっては
知られていない事実をバラしたわけではなく処罰はできない。
では、ビデオを世間にバラしても処罰されないのか。
めんどくさいけど、図にしてみたw ↓まあ、見てくれ↓
もちろん【国家公務員法(国公法)でいうA.事実】に当たれば処罰もありうる。
今回の件でいえば、かりに、世間が中国漁船の衝突の事実を知らないのに
海上保安庁職員がビデオで事実をバラしたとすればAに当たり処罰される。
問題は、上の図のBからAをのぞいた黄色の部分の情報なのだ。
まさに今回のビデオ流出事件は黄色部分に当てはまる。
今回の流出ビデオは世間が知っている事実なので
「処罰されるAの事実」にあたらず、バラしても処罰されないのだ
(ただ、内規違反でクビにはなるだろう)。
そして、国公法でもともと処罰にならない黄色の部分の情報なら、
国益を無視しても無罪か。
機密性や重要度が高い、たとえば今回のビデオのような
「黄色の部分」の情報をどう保護するか。
先頃のNHKのクローズアップ現代でも紹介されていたように、
今後もwikileaksのようなサイトが日本の公務員などと協力または
利用して、国益に反するかも知れないけれども、
国公法でいうAの事実に当たらないため処罰されず、それゆえに、
黄色部分の重要な情報をバラまくという問題は起こりうる。
もちろん、立法府(国会)で処罰を含めた法律で
黄色の部分を保護するしかない。
※注意※
もちろん、民間人のネット利用を規制することとは別問題です。
たとえば、wikileaksなどが民間の立場で発信することは自由です。
次に、2、誰が悪いのか。
検察が酔っ払いの中国人船長の責任にするつもりが、
「日中関係を考慮して」解放とやってしまった。
当たり前だが、外交を考慮するならそれはもう検察の手を離れる。
ただ単に酔っぱらいを追い払うつもりが外交問題にまで発展したのである。
バカなのか不慣れなのかはよくわからない。まるで行政のコントロールが
できていない。いずれにせよ仙谷内閣に責任があることはいうまでもない。
以上、本日夕方、Ustream(ユーストリーム)で郷原信郎さんの
会見を見たので参考にしながらまとめてみた。