Domaine Meunevaux à Aloxe-Corton | ワイン好き夫婦のおうちワイン日記

Domaine Meunevaux à Aloxe-Corton

ドメーヌ・ロベール・ジブールにやってきたタクシーの運転手はギイさんではない女性。


タクシーに乗り込むと、「パトリシアよ。」と挨拶してくれる運転手さん。あれ?もしかして、ギイさんの奥さん?


そうであることを確認するのにかなり時間がかかったのは、我々のフランス語能力がないため。だって、パトリシアさん、英語を全く混ぜもしないんだもの(笑)。そして、助手席に座っている若い女性は・・・娘さんでした。17、8歳くらいでしょうか。きっと、お母さんが娘さんをどこかに送っていくところだったに違いありません。ブルゴーニュ(だけじゃないんでしょうけど)のタクシーは、結構プライベートなことにも使うんですよね。2009年にPuligny-Montrachet村の宿に戻る際に来てくれたワンボックスのタクシーには、8歳の可愛い女の子が乗っていたっけ。でも、その女の子も愛想が良いので、乗っている方も悪い気がしないのです。一石二鳥とはこのことですね(笑)。今回の娘さんも恥かしそうにしながらも、我々との会話に加わってくれました。


次のドメーヌまでの道中、純フランス語でおしゃべり(苦笑)。パトリシアさんは、南フランスっぽいラテン系の風貌の明るい女性で、感情を織り交ぜながら話します。いつも我々の訪問のアレンジをしてくれる日本人の方のことをよくご存知で、その方のエピソードを話してくれたたり、我々の名前は何ていうの?と聞いて復唱してみたり・・・。こちらは、いかにギイさんにお世話になったかとか、ギイさんの運転のときはこんなこと話してるんだよとか・・・。とにかく、単語だけで相互理解に努めます。でも、とても楽しい会話でした。


そうこうしているうちに、目的地に到着。ここがこの日最後のドメーヌ。


Domaine Meunevaux(ドメーヌ・ムヌヴォー)。


その昔、Didier Meunevauxというドメーヌ名だったこの蔵は、お父さんのディディエさんの一人体制から、息子さんのフレディさんとの二世代体制となり、名前を変更したようです。


この日、我々の相手をしてくれたのは息子のフレディさん。



カーヴ1

新しい建屋内にあるカーヴ。



カーヴ2

こちらは昔からの建物の中にあるカーヴ。




カーヴ3

古い建物内のカーヴの続き。この辺りにはボトルの熟成庫も。




            テイスティング・テーブル


デギュスタシオンはこちらのテーブルで。



(1) Chorey-les-Beaune 2014


この蔵のエントリーモデル的なキュヴェ。ある程度のタンニンはありますが、早くから飲めそうなキュヴェと言えそう。蔵出し価格(書きませんが)も村名としてはかなり格安です。



(2) Aloxe-Corton Village 2014


ショレイに比べるとボディが大きく、力強さがあります。南西から南東向きの斜面を有するアロースにはありますが、村名区画の多くはショレイと同様に平地。Lieu-ditは4つで、北側からLes Bruyères、Cailettes、Les Cras、Les Boutières。皆国道に面しています。



(3) Aloxe-Corton 1er Cru 2014


こちらはプルミエ・クリュ。二つのクリマをアッサンブラージュ。一つはLes Fournières(南東向き)、もう一つはLes Vercotsでこちらは平地。ひとつ前の村名に比べると、味わいの広がり、規模とバランスが一枚上手。単一クリマで出すよりもベターなのだろうと思います。もちろん収穫量が少なくてブレンドせざるを得ない可能性もありますが。フレディさんによると5~7年で飲み頃になるとのことです。



(4) Corton Perrières 2014


そして、グラン・クリュ。ペリエールはコルトンの丘の南東向きから南向きに変わる辺りの斜面中腹にある小クリマ。ノーズは大人しいのですが、口に含んでみるとスケール感があります。複雑さとフィネスをもち、グラン・クリュの風格を感じます。



続いて白。この蔵も赤から始まり、白に移行するデギュスタシオン順です。



(5) Bourgogne Chardonnay 2014


まずはACブルゴーニュ。ショレイ=レ=ボーヌ村の区画。こちらも白のエントリーモデル。非常に飲みやすいと思います。



(6) Corton Blanc 2013


この蔵はコルトン・ブランを持っているのです。これはお願いして出して頂きました。2013年ヴィンテージです。南西向きのクリマであるLes Chaumesで造るシャルドネ。Le Charlemagnesと村名のLes Combesに挟まれた非常に細長い三角形の区画。実はこの区画は収穫タイミングを計るのが難しくて、他の区画に比べて10~15日早く収穫しなければならないとのこと。この2013年は、わかってはいたけれど収穫が遅くなってしまったとのこと。確かに、コルトン・ブランとしての力強さは当然としても、どうしても酸の不足感は否めず。ということもあり、フレディさんはこれを出すのに気乗りしない様子でした。フレディさんの正直な告白によると、2013年だけでなく2014年も上手くいかなかったとのこと。しかし、2015年は成功したとのこと。これはよく覚えておきたいと思います。



設備の一部

水平圧搾機(プヌマティック=空気圧式)とラベル貼り機。奥に見えるのはタンク(イノックスではない)。


デギュスタシオンの後はフレディさんとおしゃべり。


色んな話をしましたが、何故かブルゴーニュの畑の価格の話になりました。具体的な価格を記載するのは避けますが、1ウーヴレ当たりの価格は、ヴィラージュを1とするとグラン・クリュが5、そしてモンラッシェが30だそうです。それぞれ、どこのクリマか区画かがわからないと、ワインの価格との関連まではわかりませんが、まあそんな相対的な関係だそうです。



最後にフレディさんに質問。


(1)最近のヴィンテージで、自分にとって最も良いあるいは印象的なのは?


 ⇒2012年、2014年、2015年


(2)目指しているのは長期間熟成か、早飲みか?


 ⇒フルーツを重視(つまり、早くから飲めるワインと解釈)。ただ、2015年は除梗せず、異なるスタイル(長熟ワインと解釈)。


(3)どのキュヴェが一番自分らしく造れているか?


 ⇒コルトン・ブレッサンド。そして、アロース=コルトン・ヴィラージュ。


(4)他の生産者と違うところは何か?


 ⇒規模が小さく、生産量が少ないこと自体。父親と自分が一緒に運営していること。




若いフレディさん。訪問者の対応はまだあまり慣れていなかったのかもしれませんが、一生懸命なひた向きさと、自分が知っていることを包み隠さずに話してくれる気前の良さに好感を持ちました。今二人の子供の育児に専念している奥さん(ボルドー出身でフレディさんと大学で一緒だったとか)が復帰したら、きっと二人で運営するようになり、例えば"Freddy et Daisy Meunevaux"というドメーヌ名に代わるのではないかと密かに予想しています。これからがとても楽しみな生産者です。


気が付いたら、もう19時を回っていました。この後、フレディさんが我々を宿まで送ってくれると言います。でも、車の中がゴミゴミしているからちょっと待っててと、我々のために綺麗にしてくれ始めました。ちょうどそのとき、別の車が敷地に入って来ました。フレディさんは一言二言話すと、そっちの車で送るよと。その車に乗っていたのはフレディさんのお母さん。ということで、我々は「フレディ・ママ」に送って頂いたのでした。


フレディ・ママはとても気さくで英語も少し話せる方でした。道すがら、この日にフレディさんと楽しいデギュスタシオンができたこと、期待の生産者と思っていること、見た目もハンサムだねと感想を伝えました。フレディ・ママのレスポンスからは、我々の感想に同意するどころか、我々以上にそう思っているということが伝わってきました。やはり、どこの国もママは息子を誇りに思っているんですね。



我々が宿に戻ったのは、もう20時近く。もうお店は開いていないので、どこかで外食することにします。そうだ、一度行ってみたかったブラッスリーがあったんだ。ということで、脇を通るたびにいつも満席のそちらへ。


それはボーヌ市街の中心部にある、Brasserie le Carnot(ブラッスリー・ル・カルノ)。




Salad Carnot

こちらはPuligny妻がオーダー。お店のオリジナルサラダ。ジャガイモ、カマンベール他のフロマージュ、ジャンボンなど。ヴォリュームのあるサラダ。




Pluma de Porc

Puligny夫が注文した豚肉のロースト。プルマは部位の名称で、ロースの頭の部分だそうです。赤身肉でスペインでは高級部位だとか。でも、こちらのプルマは結構硬くて今一つ。




Deux Verres de Vin

ワインはグラスで。あのボタンを押して一定量が出てくるワインサーバーで。白がSaint-Romain、赤がPernand Vergelesses。うーん、味わいは今一つ。沢山飲んだ日だからあまり味がわからないかと言うと、そうでもないんですよね・・・。明らかな酸化はないけれど、躍動感の全くないワイン。このサーバーって、酸素は遮断できているのでしょうが、ワインの品質を維持できているかどうかは疑わしいと思いました。結局ボトルで出してくれるところの方が信用できるということか・・・。



これで1日3軒訪問の月曜日が終了。火曜と水曜は1日2軒ずつ訪ねていきます。そして、火曜日午前中は、今回のメインイベントとなる蔵への訪問なのです。



つづく・・・。