Self-Reference ENGINE
- Self-Reference ENGINE/円城 塔
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■評価 B
■基本情報
著:円城塔
刊:ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
初版発行:2007年5月25日
■読書期間 2007年5月26日~28日
■感想
要約が難しい本です。
演算機能の限界を超えるために自然現象と化した巨大知性体群がばらばらになった時空系列を管理する世界で人間がどう生きるかという話――というとかなり語弊があるなあ。そんな綺麗な小説ではないし。論理的に馬鹿げた話です。
形式としてはゆるやかに関連する短文が並んでいるだけです。ひとつの世界が浮かび上がるとか、隠された真相が明らかになるとか、そういうことはありません。短文は最後になんか決意したり、格好良いこと言って締められるので、このあたりがヴォネガットの手法なのでしょうか。しかしヴォネガットは最後を導く為の流れはなく、何処からともなく言葉が振ってくるような印象があるのでやや違うのではないかと思います。
まあ形は文学青年の過ちみたいな感じなのですが、内容はそれなりに悪くありません。SFファンなら作品説明を気にせず、最初と最後に目を瞑って、裏を気にせず、だらだら読むと楽しめるような気がします。