双子は知能が低いから自殺率が低い? | しんりの手 :psych NOTe

双子は知能が低いから自殺率が低い?

twinskiss 双子は自殺率が低い。その理由は知能指数が低いからかもしれない、という案。

この研究者がこの案を導いたのには下記のような過去の統計がある。双子は自殺する率が低い。双子の他の特徴としては、双子は知能指数が低い。知能指数にして6ポイント、SD(標準偏差)にして0.4ポイント低い。自殺するにはある程度の知能が必要だし、実際に国全体として知能指数が高い国の方が自殺率が高い。更に、天才と言われる域の知能指数の持ち主は自殺が蔓延している。こういった統計を繋ぎ合わせて考えると、双子は知能指数が低いから自殺率も低いのではないか、というのがこの研究者の案。

「案」と僕が呼んでいるのは、この研究者がこの発表をレターという形で投稿しているから。つまりまだ直接この案を支持する研究をしていない。この案を支持するには実際に自殺した双子と知能指数の高さの相関関係を示す必要があるだろう。でもまだ。

最近の科学界では双子への風当たりが強いように見える。これはクローン技術が現実になることへの警鐘だろうか。つまり双子ですら遺伝的に弱い要素が多いのだから、クローンなんて更に弱いんだよ、ということを誇張しているのか?

それはさておき、この研究者も指摘している通り、僕は社会的理由の方が影響が大きいと思う。双子は生まれた時から1人の近しい友を約束されているようなものだ。自殺者の一番の危険な状況と思われる一人で思い悩んでしまう状況になっても、双子なら話す相手がいる。それがもう片割れの方だ。今後の研究の進展を見守ろう。

-----------------------
検索キーワード: 社会心理学 性格心理学 自殺 双子 鬱 知能指数 IQ

元のニュース:Martin Voracek (2003) Risk of suicide in twins. BMJ 2003: 327: 1168 (15 November).
この研究者のほかの論文を以前に紹介したな(過去記事 )。直接の関連が無い記事なんだけど売れ線狙いの研究者なんだろうか。