貧乏学生、夏の夜を行く ~年甲斐もなく編~ | 吐露アンプリファー

貧乏学生、夏の夜を行く ~年甲斐もなく編~

25日の夜に起きた一夏のオイタ、過ち、冒険とでもいいましょうか。


26日に梅田で飲み会の予定が入ってたんで25日から実家に帰っておかんの飯でも食おうと思い立つ。


財布を見る。


財布には268円入ってた。


ふと、前に郵便局で金をおろしたときに残金が15円くらいやったんを思い出す。


引き出されへんやん!と嘆く。


ってか、15円引き出せたところで全然足りへんやん!と悶絶。


実家に帰るための電車代すら無いことを自覚する。


超貧乏学生やーん!って嘆きつつ、超貧乏学生体験を満喫している自分に対して満足する。


(この満足感はMだからという理由ではなくて、自分の経験欲を満たしてくれてるからという理由で受ける満足感)


煙草も買えねー!とちょっと嘆く。


一度思い立ったことは絶対に実行したい性格なんで、どうしても実家に25日中に帰ろうと思う。


電車代が無いなら、

























































そうやッ!!!


























































































走って帰ろう☆



























































いやいやいや~、ちょっと待てって自分!!

























































マラソン嫌いやしそれはさすがに無理やって自分!!と自分自身に言い聞かす。













































































じゃ~チャリで帰ろう☆

















































ええやん、それ♪と納得する。































































「電車代がない」→「自転車で帰る」


この推論にはかなりの論理の飛躍があるけど、あほなことが大好きな性格なんで進んで論理を飛躍させる。


たぶん、ってか普通は誰かに金借りるやろうけど、どことなくチャリで帰ってみるのも面白ろそうってのがあったんで、さっそくちゃりにカギを差込む。


テレビで台風どうこう言ってたけど、日本のどこに台風が来てるんか知らんし調べるのも面倒臭かったんで、自分は晴れ男やという根拠の無い自信と、台風ごときでつまづくようじゃこの先成功せえへんという変な信念とともに立ちこぎ開始。


けど一応、台風に備えて大きめのゴミ袋を一枚持っていくことにする。


25日23時30分に京都府京都市左京区を経つ。


8月の全財産268円。


にも関わらず、出発して20分ほどで何も考えずにコーヒーを買ってしまう。


残金148円。


悔やむ。


ふと思い起こせば24日の夜から何も食って無いことに気づく。

腹が減る。

残金148円。

飯を取るか水分を取るか悩む。


超貧乏学生やーん、俺!とまた満足する。


人生何事も経験、経験と自分に言い聞かす。


2時間半くらい走ったところでどうしようもなく喉がかわいたんで、しゃーなしにコンビニで紙パックのでかいサイズの103円のウーロン茶を買う。このウーロン茶は毎回お得感を与えてくれる。


残金45円。


ウーロン茶片手に御満悦気分でひたすら171号線沿いを走る。


途中、横からパトカーが通りぬけていって、自分の先で止まった。


警察官が降りてきた。


ポリかよー、めんどいなー!とちょっと悶える。


その第一声「高●警察だけど、ちょっと止まってくれる? (3秒くらいの空白) そのウーロン茶って高いの?」


なんやねん!このうわべトークのさらにうわべを走ってるトークは!!


とちょっと心の中で突っ込みつつ、「安いっすよ103円っす。」と丁重に返答する。


すると「へ~。ところでその自転車って君の自転車?」


なんやねん、このトークの切り替えし!無理があるやろ無理が!


と心の中で突っ込む。


結局、盗難自転車かどうかのチェックやった。


最後に「ところで何してるの?」って聞かれて「電車代がなくて自転車で京都から尼崎まで帰る途中っす。」って丁重に答えたら、笑いながら応援された。


それからひたすらチャリをこいだ。


途中、警察に止められたり、チャリの前のカゴが取れそうになったり、タイヤがパンクしそうになったり、カゴに入れてたかばんがぶっ飛んだり、トラックにひかれそうになったり、ヤンキーにちょっかいかけられたり、かなり険しい道のりでした。


中盤あたりのときに、各市に到着するたびに「タカツキ市~!(アドリブ)」「イバラキ市~!(アドリブ)」「ミノウ市~!(アドリブ)」とこの歳になって深夜国道沿いを走る1チャリの上から心の底から喜びのおたけびをあげている自分の姿を若き時の自分は想像したであろうか、否。


と、まあ色々ありつつ、


26日6時30分に兵庫県尼崎市の我が家に無事到着。


トータル7時間チャリをこぎ続け(5時間立ちこぎ、2時間ふにゃふにゃこぎ)、到着したときの感動はなかなかのものでした。


案外近くてびっくりしました。


後々考えると、マラソンで帰る方法を選択せんでほんまよかったと思いました。


が、いつしか挑戦したいと思います。



<この旅で得たもの>


■ゴールに向かってスピードは遅くてもいいからちょっとずつ前へ前へ進んでいると、ゴールとの距離が縮まるという事実


■「下宿先から実家に帰る電車代が無くて、自転車を7時間こぎ続けて実家に帰った」という体を張ったネタ


■青春