前の会社に新卒で入社した際のことである。
新人の社員研修3日目。社長が自ら講習にこられたのだが・・・、全く話が面白くない。社長もその空気を感じたのか、ダジャレを連発する。案の定、会議室はさらに最悪の空気に・・・。
しかし私、小太りはその時、腹痛&便意と闘っていた。社長の話の内容など、どうでもよかった。しかし、社長にトイレに行きたいとは宣言はできなかった。小心者なのである。
そこで、その腹痛から逃れるために、一つの選択肢を選んだ。
ガスの放出である。
経験上、音を消す自信はあった。かなりあった。
全神経を穴に集中させる。ゆっくり栓を緩めるが如く、少しずつ扉を開放させる。
しかし意に反して、扉は強引に開かれた。音は全くでなかったが、意図しないものまでもが飛び出してきたのである。あきらかにミステイク。しかも最悪の・・・。
後の席の人間が、小声で「なんか臭くないか~?」と隣の人間に話している声が聞こえてきた。
どうも震源地は確定されていないようだ。私に向かっても、同じ話をしてきた。「そうか~?誰か屁をしただけやろ」と答える。
実際は屁だけではない・・・。そんな生易しいものではない。私だけが知っていた。
社会人1年目として、こんなところでつまずくわけにはいかない。
そう考えた私は、次のカードを切った。